ロマンスの神様 助けて
そろそろ全国的に冷え込んでまいりまして、日々布団から出ることが辛くなって参りました。
朝、起きなきゃいけないと思った時の絶望感たるや。ああ、あの日に帰りたい。具体的にはおぎゃりたい←病
とはいえ、楽しみなこともあるのです。
雪が降って交通も滞り、寒くなることにいいことないやんと思われるかもしれませんか、冬だからこそのたのしみもあります。
皆さま。
スノーボードの季節ですよっ!
この一言で私のことを嫌いになった人は心の中にしまっておいてください。傷つくから(ノミメンタル)。
いや、スノーボードといっても、もしかしたら想像されるような、リア充がウェーイって鳴きながらド派手なジャンプかまして、その後の温泉で女子とウェーイしてウェーイして朝ウェーイするってものでもないんですよ?(ウェーイ?)
ただ単に雪の上を板で滑る遊びなだけです。ちょっと頑張れば誰にでもできる、間口の広いスポーツなのです。
せっかくですので、スノーボードの楽しさを伝えつつ、安全性のアピールも出来たらと思います。
最初にスノーボードに誘われたのは、大学三年生の頃だったと思います。
当時某黄色い看板のファミレスでアルバイトしていました。同年代の友人が何名も働いていたため、雰囲気が明るく、話しやすい空気が蔓延していました。
そんな中、何やら盛り上がっている様子でしたので、私も話に入ることにしました。
私「なんの話してんの?」
S「今年もスノーボードしようぜって話だよ」
私「スノーボード!?」
なんということでしょう。私の人生において、スノーボードという単語は関わりがありませんでした。
なんで寒い中さらに寒い雪山になんぞいかなきゃいけないんだと、至極真っ当な正論を振りかざして生きてきた私には、いっていることを理解できませんでした。
それに、あんな板切れに乗って雪山を滑りに行く奴らなんぞ、雪の上じゃなくて女の子の上で腰を振りたいんだろ?っと至極真っ当な思いでいっぱいでした(偏見)。
私は断固そのような淫猥集まりには乗ってやらないぞ、と決意を固めました。
S「せっかくだから、遠藤もいく?」
はっ。来ましたね。
私「いくぅ」
私は、生粋の日本人です。
怖いもの、村八分。
密かに同調圧力というものに押し潰されそうになりながら、私は不安で一杯でした。
同い年のみんなは、すでにクラス単位でスノーボードに勤しんでいるらしいのです。卒業旅行はスノーボード合宿な、と信じられない提案をするくらいにスノーボードの虜なのです。くたばれ(漏れた)。
そんな中に私がいっても、果たして楽しめるのでしょうか。
S「うわあー遠藤全然滑れないんだな。ギャグは滑りまくるのにボードは滑れないんだ(暗黒微笑)」
やばい死にたい。
妄想で罵倒されるだけでこのざまなのです。実際に言われた日にゃ……。
すると、思わぬところから助け舟が出ました。
店長「遠藤、ボード行くんだってな。俺も久し振りにやりたいし、練習に行くか?」
私「いくぅ」
ありがとう店長。
この時ばかりは、時には鬼のような店長が神に見えました。
助け舟を出してくれたことで、飲み会の時、パンツにマヨネーズを入れられたことを、快く許すことができました。
許すことって、大事です。
そんなわけで、店長、店長嫁(通称、腐った合法ロリ)、私の三人でスノーボードに出かけました。
普段雪のあまり降らない地域に住んでいると、腰元まで積もった雪は珍しく、白銀の世界には圧倒されっぱなしでした。
ひんやりとした空気は、刺されているようで、寒いというよりも痛みを感じるレベルです。
スノーボードウェアをレンタルし、ブーツにボードとビンディングもレンタルです。最初はレンタルでいいでしょう。
ブーツの締め付けは痛い寸前まで、できる限り締めないと、うまく力が伝わりません。初めてにはきついですが、我慢です。
ゴンドラに乗って、目指す頂上です。
雪面を滑り降りるボーダーやスキーヤーは、自分の手足以上に器用です。半円を描きながら華麗に滑り降りていきます。
それを見ていると、偏見に感じていた気持ちも、段々と消えていきました。早く滑ってみたい、と思いました。
15分ほど登った先で、ブーツとビンディングを繋ぎ、ボードに両足を乗っけました。
ついに私も、スノーボードデビューです。
さあ立ち上がるのです。雪面を華麗に滑走し、風と一体化して走る雪の精となるのです。
そしてモテたい←本音。
私は立ち上がりました。
ドスン。
私は立ち上がりました。
ドスン
私は立ち上がドスン。
無残にも奏でられる、雪とオケツのドラム音。世界一汚い音がここにありました。
えーと。
立てへん!
不安定な足場であることに加え、両足を固定されている状態で立ち上がることは、至難の技でした。
ウェーイとか言ってる奴らは、みんなこんな苦行を味わっていたのですね。ボードをする方を、少し見直しました。
時間をかけて立ち上がり、まずはボードの基本テクニックを学びます。
まずは止まり方。滑って行った時、つま先をあげると踵で止まり、踵をあげるとつま先で止まります。このテクニックは、カーブをする際に必須となります。
そして、スノーボードといえば肩を前に出し、縦向きに滑るイメージですが、最初の練習は横向きです。通称木の葉。
木の葉が落ちるように降りて行くので、そう呼ばれているのです。
この行程をサクッとクリアすれば、つぎはいよいよターンを繰り返して基本的なスノーボードの動きとなります。
なんとか立ち上がり、ふくらはぎに変な緊張を感じながら、木の葉の練習をしました。普段使わない筋肉を使っているのか、すでに汗がほとばしり、全身が悲鳴を上げているようです。
ふう。
もういいかな(開始15分)。
私はよく頑張りました。自分で自分を褒めて上げたいほどです。
幼い子のはじめてのおつかいよりも、遠藤のはじめてのすのーぼーどの方が感動を呼びます。もう取れ高は十分です。
ねえ店長?
「そろそろターンの練習するぞ」
ですよね(死んだ目)。
いくらすでに疲労困憊でも、まだボードの真髄に触れてはいないのです。プールの授業なら、やっと水に顔をつけたくらいです。
人によるのですが、まずは左肩を前に向け、左曲がるならつま先を上げて弧を描き滑る。そして右に曲がるには踵を上げてつま先でするように滑ります。
それを繰り返せばいいと教わりました。
店長「わかったか?」
私「わかりません!」
店長「よし、やってみろ!」
いやわからへん言うとるやんか!
習うより慣れろとは言いますがねえ。
諦めてやってみることにします。
ぐっと腰を下げ、左肩を前に出すと、徐々にスピードが増します。風が当たる速度が上がり、スピードに目が慣れて来たところで、エッジをかけてつま先を上げます。
これは!
ずざあああああああああああああああ
はい。
顔面セーフです←アウトだよ。
いやめたくそ難しいですよ。普段使わない体の部位を使うので感覚がわからないですし、緊張が続くので痛みもでます。
それでも、諦めずに(ずさあああ)何度も何(ドスン)度も立ち上がり続けま(ズボっ)した。
そんな私の頑張りに、店長は力強く言い放ちました。
店長「よし、俺たちは先に滑ってるな。気をつけて来いよ!」
鬼か貴様は
ってもういない!?
血も涙もなく置いていかれました。初心者一人で雪山に置いてけぼりです。しかもたまたま初心者も少なく、人通りもほぼないのです。
トボトボ。
シュタッ。
ドスン。
シュタッ。
ズザアアアア。
グスッ。
もうぼくはここでしぬんだああ(涙目)。
生まれて初めて、本気で死を覚悟致しました。
ちなみにこの時のコースは、おそらく普通に滑り降りれば、10分くらいのコースでしたが、
私は降りるのに三時間かかりました。
店長「よし、もう一本いこうか」
私「いかないです」
これで皆様もボードをやりたくなってきたでしょ?←節穴か
まあでも、懲りずに何度かやり続けたことで、普通にターンくらいは出来るようになり、段々楽しくなってきました。
その間、色々な思い出があります。
2回目行ったボードで、友人が骨折したり(病院にランデブー)。
板が流されてってコース外にロマンスを探しに行ったり。
ジャンプ台から鳥になった後輩は、嫉妬するくらい美しく首から落ちました。
奇跡的に無傷だったから良かったものの……。
冬ともなると、どうしても寒風に足を固められて、ついつい室内に籠もりがちになります。
けれど、そんな時だからこそ、冬しか楽しめないこともあるということを、ふと思い出して欲しいのです。
かつて、雪があれば無邪気にはしゃいだあの頃。
どんな時にだって、どんな所にだって楽しみはあるのです。
素晴らしきルーチンから抜け出して、新しいワクワクを探しにいきませんか?
ちなみに、
これでスノーボードを初めて怪我をされたとしても、当社は一切の責任を負いかねますので、ご了承くださいね(投げっぱなし)。
ボードをやった次の日は、全身に加え、ケツが痛くて動けないので、あしからず。
そういえば、ボードできるんですけど、私のモテ期はいつですかね?
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