男たちの残骸

 今日のエピソードは、書こうか書くまいかずっと悩んでいたものになります。


 積極的に吹聴してしまい、何かしらの思想や嗜癖に対しての誹謗中傷と取られたり、誤解を招いてしまう危険性も孕んでいると考えられます。


 それでも、勇気を持って語りましょう。




 あ、そうそう。


 出来る限りぼかした形で、今回のエピソードについて表してしまうのであれば。


【ほ】で始まり、【も】で終わる二文字の言葉です。


 これではなんのことかわからないとは思いますが(……)、今言えることの限界がここまでです。


 どうぞ、よくわからない感情が湧いてきたとしても、ご了承いただいた上でお楽しみ下さい。






 職場における飲み会というのは、きっとどこにでもあるものと存じます。


 私の所属する職場のとある部署においても、慰労会として飲み会が催されました。


 一旦自宅に帰り、装いを新たに飲み会へと参加される方はけっこういらっしゃいまして、普段とは違う装いに、仕事の最中とは違った印象を覚えました。


 そんな中、Hくんはタンクトップにシャツを羽織り、膝丈ジーンズといった出で立ちで、普段よりも一層男らしさをが溢れ出ていました。


 若くして結婚し、モノマネやコミカルな言葉で周囲を楽しませてくれる、ムードメーカー的な存在の彼は、プライベートでは明るく積極的な、リア充と言っても差違えないポジティブ人間でした。


 職場の特性上女性が多いのですが、血気盛んな男性がいないといけない物騒な場面も多く、若い男性も多く飲み会に出席していました。


 その部署で一番偉い先生は参加しておらず、師長も主任も宴会ごとには寛容な男性であったため、ハメを外しやすい環境にあったことと思います。


 最高の舞台に盛り上がる雰囲気。


 飲み会はとても楽しい雰囲気を纏ったまま、進んでいきました。


 そんな中、急遽立ち上がる、明るい空気を醸し出すHくん。


 ある程度酒が進んでいたためか、テンションはあがり、わずかに瞳は据わっているように見えました。


 Hくんは、隣に座るA先輩に目を向け、力強く

 宣言しました。


「俺はいまからーAさん(男)にキスをするぜ!」


 は?


 会場内は、驚愕の空気に包まれました。


 舌なめずりをし、A先輩を見据えるHくんの様子は、冗談で流せる感じではありませんでした。


 流石にA先輩も迷惑じゃないかと考えていると、Hくんと向き合っているではありませんか。


 え、マジですか?


 と思った瞬間、二人は熱烈なキスを交わしていました。


 きゃー。


 私は指の間を開いて、両手で顔を覆いました。


 人目もはばからず、熱烈なキスに身を委ねる二人。


 酔った勢いとはいえ、愛の行為とも呼ぶべき接吻を交わしている姿を、見ているこっちとしては圧巻です。


 とてもテンションがあがるはずです。


 男同士じゃなければな!(残念)


 さて、A先輩を屠ったところで、惨劇は終わりません。そう、所詮この出来事は始まりでしかないのです。


 Hくんは、真面目で礼儀正しさで有名な、Rくん(男)に目をつけました。


 ギラギラとした瞳は、獲物を狙うライオンのよう。


 当然抵抗するRくんですが、Hくんの鍛え上げられた肉体の前ではなすすべもなく、仰向けに組み敷かれてしまいました。


 そして、強引にその唇は奪われました。


 いささか強すぎる愛の行為に、呆然とするRくん。


 爆笑するRくんの彼女(止めろよ)。


 そこから、Hくんの快進撃は止まりません


 年上で主任のBさん(男)と熊のように絡み合い、マッチョのくせにオネエみたいなKさん(男)と濃厚な交わりをしていました。


 そして狙われた新たな標的としては、



 私、でした。


「えっ、ちょちょっとまっ」

「大丈夫です遠藤さん。優しくしますから」

 そういう問題じゃねええええええ。


 壁際に追い詰められ、抵抗のすべもなくした私は、次の瞬間……キスされていました。



 無骨な見た目とは裏腹な、柔らかい弾力を備えた唇を、自分の唇の感覚がとらえた。距離が限りなくゼロに近づいて、わかりあえないはずの他人と不思議な一体感を抱いた。瞳が閉じられ、反射的に瞳を閉じると、残された感覚は鮮明になった。わずかな湿り気は、淫靡。

 ふわっとする感覚を感じたと思えば、唇はいささか強引に開かされた。なんだと思い、認識したのは、Hくんの舌だった。普段は食物を判別し、味わうために使われる器官が、現在は快楽を与えるためにうごめいている。

 戸惑いに思考は様々な言葉を流し続けるが、動揺ゆえに認識はできなかった。新たに追加された感覚は左の胸部から。こいつ、ちゃっかりと胸まで揉んでやがるのか。


 そういった思いは抱いたのだが、行動としては移せなかった。


 一瞬の永遠は、時間で表せば刹那の時間として経過し、1つに近かった2人は、やがて元の形へと帰っていった。


 あっ。


 その感嘆は、どういった感情からなのか、未だわからない。





 改めて思います。


 わたしは一体何を書いているんですかね?(知るか)


 まあ年下の男に唇を奪われたんですよ。


 あ↓あ↓あ↓あ↓


「まだ遠藤さんは照れがありますね」


 うるせえ!(テレテレ)


 そんな様々な方に愛を振りまいたHくんなのですが、この後、事態は意外な展開を見せます。


「俺は、プライベートではドSなんだぜ」


 普段は冷静沈着で、年上だろうが先輩だろうが理攻めで論破するA先輩は、再び立ち上がりました。


 ええっ、あなたそんなキャラじゃないじゃん……


 A先輩は、Rくんを再び押し倒しているHくんへと駆け寄り、そのままHくんを床に組み敷きました。


 そのまま、A先輩からHくんへの熱烈なディープキス。


 これが地獄絵図です(うええ)。


「やっぱりA先輩がいい!」


 かくして、Hくんの暴走も、A先輩のドS攻めによって、なんとか終結を迎えたのでした。





「いやあおもしろかったなあ」←逃げてた師長。


 おや、1人だけ男でキスされてない人がいますね。


 私は言いました。


「Hくん師長にキスしなくていいの?はいキースキース」(小学生かっ)


「ウィッス」


 ……


 無事全員キスしました(無事とは?)。





 誰が得するのこの話?


 ま、まあ何はともあれ。


 飲み会とは、仲を深めたり、わかり合ったりするためにやるものです。


 これを機に、私たちは少し仲良くなりました(意味深)。


 スキンシップや、肉体的接触は、ある程度であればあってもいいんじゃないかと思います。


 人や犬や猫などを撫でる時、撫でられている方はもちろん、撫でている方の幸福度もあがるということは、立証されているそうです。


 まあ誰しも多少は、寂しがりやなんですから。


 触れることで少しでも繋がりを感じて、人間関係を円滑に出来れば、それはとても喜ばしいことです。


 きっと、そんな当たり前で大切なことを、Hくんは教えてくれたのです。



 この話を聞いて良い話だと思ってしまった方がもしいましたら、考え直してください(真顔)。


 ちなみに、仲良くなったHくんには。


 時折お尻を触られます。


 やれやれ。


 たまになら、いいですよ(ん?)。


 念のため申しておきます。


 他意や批判の気持ちは全くないと前置きし、言わせてください。




 私はホモじゃないです。


 ないです!(強調)


 信じてください。





 信じてください!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る