牧野 煎 (參)

七人の武士(もののふ)たちが、この町で繰り広げるのは、古より続く天下取りの戦……

すべての願いを叶えることができる聖なる湯飲みの名の元に繰り広げられる聖戦


『聖茶戦争』


「で、伊右衛門さんは、俺にどーしてほしいのさ」

「共に戦ってほしいのだ」

「なんで?」

「ひとりでは本来の力を完全に出すことが出来ないのだ。主殿の思う心が、そのまま我の力となるからな……」

「よく分からないけど、なんだか、ややこしいなぁ……」

「ところで主殿、今日は一緒に寝るか?」

「バッ、バカ言え!」

「ほほう、顔が真っ赤じゃ。さては主殿、まだ貞操を守っていると思われるが……」

「うるせぇ! ビ○チ!お前は清楚系AV女優か!」

「ビ○チ?なんのことでござるか?」

「あー、もういい。もう寝る!」

「そうか、残念じゃのぅ」


伊右衛門のために、煎は自分のベッドを明け渡すことにした。伊右衛門はベッドを見たことがなかったのか、妙にはしゃいでいた。藍色に染められた麻の着物をするりと脱ぎ、その白くて美しい裸体を煎に見せつけてきたが、本能を理性でなんとか押さえ付け、なるべく視線を落としながら、煎はとりあえず自分のTシャツとズボンを伊右衛門に渡す。


「奇怪な着物じゃの」

男物のTシャツを来た伊右衛門を煎はちらり、と覗き見たが自分のTシャツを来た美少女の胸の膨らみに再び視線を剃らした。


「今日は寝てくれ」

煎はベッドの上で、にやにやとする伊右衛門を一瞥すると、照明のライトを切り部屋のドアを閉めた。


パタンと閉められるドア。

暗闇の中で、伊右衛門の口元が妖しく笑った。

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