第7話 映 画 。




入ると誰も居ない。



誰も来ないまま、映画は始まった。




確か、すっごい泣ける映画って言ってたな。







「……ほんと、すごいやぁ。涙が…、とまんないやっ…。」





ふと、彼女が言ってた言葉を思い出した。




『えっとねぇ…ーー恋人同士の男の子と女の子が映画を見ることになったんだけど…。女の子が来る途中、事故に合っちゃって、その後の男の子の生き様を描いた話。』



あんまり興味がなくて、適当に聞いてたけど、何故か覚えている。




『確か題名は……ーー




『君 が い な い日 。』



だったかな。』






君がいない日なんていらない。




叶わない理想なんて抱いて、なんの意味がある?





そうじゃないんだ。





自分と性格も、状況も似ている映画の主人公に、ゆっくり自分を重ねた。




映画の彼は、精一杯生きている。



前を向いて、彼女の分も精一杯生きている。





君の分も生きよう。




叶わない理想もあるかもしれないけど、そればかりじゃない。



叶うも叶わないも、僕次第だから。





長い夢から覚めた様な気がした。






僕の理想。



『また、君に出会うこと。』




叶えたい。



いや、叶えよう。





いつ会えるだろうか。



考えると、楽しみで仕方ない。





『君 が い な い 日 。』




以外と、悪くないかもしれない。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る