第6話 映 画 。




それから毎日、学校の日は終わってすぐに向かい、土日は9時前に着いては閉店時間までずっと……。






暇な時はいつも考える。




もしあの日が夢で、君はまだ生きてるとして。



こうしてずっと待つ僕に、君は笑顔で言うんだろう。




「ごめんね、待った?」



変わらない笑顔に、心が温まる。




「ううん、今来た所。」



小さな僕の強がり。






理想だけじゃいやなんだ。




早く、現実に……。






「待ち人、来ないもんだねぇ。」


「……はい。」


声が聞こえて振り向くと店長さん。



「君が見たいと言ってた映画、今日で最後だよ。」


「そう、…ですか。」




君が見たいと言った映画。



早くしないと終わっちゃうよ。



だから早く、僕の元へ…。





それでも結局、理想は理想のまま。




君が来ることはなかった。






「あの、見ます。…映画。」


「そうか。じゃ、千円ね。」



「いや、あの……、二人分下さい。」


「……二千円ね。」


財布を取り出し、二人分払う。



もうすぐ始まるから劇場に入った。



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