第6話 映 画 。
それから毎日、学校の日は終わってすぐに向かい、土日は9時前に着いては閉店時間までずっと……。
暇な時はいつも考える。
もしあの日が夢で、君はまだ生きてるとして。
こうしてずっと待つ僕に、君は笑顔で言うんだろう。
「ごめんね、待った?」
変わらない笑顔に、心が温まる。
「ううん、今来た所。」
小さな僕の強がり。
理想だけじゃいやなんだ。
早く、現実に……。
「待ち人、来ないもんだねぇ。」
「……はい。」
声が聞こえて振り向くと店長さん。
「君が見たいと言ってた映画、今日で最後だよ。」
「そう、…ですか。」
君が見たいと言った映画。
早くしないと終わっちゃうよ。
だから早く、僕の元へ…。
それでも結局、理想は理想のまま。
君が来ることはなかった。
「あの、見ます。…映画。」
「そうか。じゃ、千円ね。」
「いや、あの……、二人分下さい。」
「……二千円ね。」
財布を取り出し、二人分払う。
もうすぐ始まるから劇場に入った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます