08 ミッドナイトコーラ

君は茫然と靴を脱いで

何処とも知れぬ波打ち際で

さざなみを踏みつけながら歩いている


泡沫うたかたに消え失せてしまえ

半端な軽い決意なら

弱音ごと飲み干してしまえ

自信のなさゆえに多弁になるなら

ひとり深く病む海に叫ぶ


真っ暗な空を魔焔まえん仄蒼ほのあおく染め上げて

太陽を爪で弾くような冒涜的な仕草で

君はただ天使のように微笑んでいて欲しい


ふたり影まみれになって墨色になろうか

白い貝殻を片手に思うこともあった

けれども沈むことは君自身が赦さない

なら思うまま極彩色ごくさいしきに輝けばいい


流し込むミッドナイトコーラ

言葉に詰まる喉を刺激する味覚

それは夜の底で輝くサファイア

満ち足りて月は安心して眠る


涙もなく顔を上げた君は遠くを見据える

僕はただ君の濡らした爪先が愛おしい

このまま君は君を貫いて欲しい

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