第44話姉に見つかったら確実にやばいことになって来たんだが

 

僕は自分の部屋の中でビスケットを食べ、牛乳を飲みながら、今回の美術の学期成績はおそらく記録を更新することに、まずもって自分の人生最高点をマークすることになるだろうな、と想像していた。

 

バカみたいに笑っていると、小夢がドアを開けて部屋に入ってきた。


手には今しがた着替えたTシャツとサスペンダーのショートパンツを持っていた。彼女の体はバスタオルで包まれていて、どんな格好をしているのか僕には分からなかった。

 

「準備はいい?」

 

彼女は手に持っていた服を綺麗に畳んで机の上に置いた。

 

「うん、先に食べない?」

 

僕は小夢に目をやりながら、牛乳を口に含んだ。

 

「いいや、時間使っちゃうし。それに今何も着てないから、ちょっと寒いしね」

 

僕は口の中に牛乳が入っていたせいで、返事ができず、親指を立て、彼女のその真面目っぷりを賞賛してみせた。

 

「じゃ、始めようか」

 

小夢はそういうと、僕の賭け布団の中に入り込み、バスタオルを外した。

 

「ぶふぅ……」

 

牛乳が僕の口の中から飛び出すのを抑えることができなかった!

 

今しがた小夢がベッドの上で動いている時に、ほとんど丸出しの尻を目にしてしまったからだ。

 

どういうわけか鼻血が流れ出し、その瞬間に吐き出した牛乳に希釈されて、おかしなピンク色になった。

 

人って興奮するとほんとに鼻血を流すもんなんだな……

 

いや僕のような童貞にとっては、これは耐え難いプレッシャーじゃないかあああああああ!

 

全く冷静になんてなれなかった。


さながら彗星が僕の家の玄関を直撃したような衝撃で、僕は小夢が一体何を考えているのか理解できなかった。


まさか、まさか……彼女もまた僕のことを好きで、それで我慢できずに色仕掛けで僕を誘って来たのか?


SОDでやっているみたいに?

 

僕が魂が抜けてしまったように呆然自失に陥っているのをみると、小夢は恥ずかし気に笑い、シーツの端を摘まんで、真っ白な太ももの側面を覗かせた。そうしてみると光輝くような白い皮膚の上には、いくつかの美しい模様が描かれているのだった。

 

「これはボディペインティングっていうやつだよ。自分の家でいくつか図案を描いて来たから、撮影して欲しいの」

 

おおお……なるほどボディペインティングか。


僕もテレビで見たことがある。


女性もモデルが肌色のビキニを着て、画家に体に絵を描かせるというものだ。


言ってみれば芸術の一種というわけで、僕の反応が大げさすぎるのだった。

 

 

だけど、僕がたった今目にした尻はじゃあ一体なんなんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る