第45話姉さんがいるのにエロ過ぎる

 

「そもそも君は裸じゃないかああああああああああ!体の上にペインティングをしているだけで裸じゃないかああああああああ!」

 

僕は今にも頭がどうにかなってしまいそうだった。鼻血が再び流れ出した。

 

「あいや、シーツで隠れてなかった?」


小夢は体をよじり、彼女の傷一つない綺麗な背中を僕に向けた。


「部分的なアップでいいや。後ろから撮るとか、図案の部分だけでいいよ」

 

これはまずいぞ!

 

僕はうっすらとした悪寒を覚えた。それが僕にこの事態はまずいと告げているのだ!

 

強張った首をゆっくりと上に逸らせ、僕は光を失ってしまった両目を部屋の天井へと向けた。

 

蛍光灯の中には……


 

隠しカメラが仕込まれているんだ!


 

どうであれ関係ない。

 

僕は小夢を守らないといけないんだ!

 

物音を立てないままベッドへと近づき、僕は写真機を取り上げず、全身の血液が沸騰してしまいそうな衝動を必死で抑えつけながら、シーツで小夢を包み込んで抱き上げると、フォークリフトのように両手を使ってお姫様抱っこの方式をとり、彼女を僕のベッド、僕の部屋から連れ出した。

 

確認、三つ目のねえさんと金玲ねえさんは部屋の外には出ていない。

 

僕はそのチャンスを逃さず、お姫様を保護する忍者のように、余計な物音を一つも立てないまま、煙が流れるようにすばやく浴室へと滑り込んだ。

 

そこは僕が考えている中で最も安全な場所だった。金玲ねえさんがいくら大胆不敵とはいえ浴室にまでカメラを仕込んだりはしないだろう。

 

小夢をそこで下ろし、バスタブの端に座らせてしまうと、僕はどう弁解したものか分からなくなってしまった。

 

僕はとにかく


「僕の部屋には隠しカメラがあって盗撮が行われているんだ」、


「君の裸はすでに撮影されてしまっているんだ」、


「隠しカメラはあるけど、僕は絶対に変態ではないから」、


あるいは藪べびに「隠しカメラは僕のじゃないんだ」、


「僕は君の盗撮なんて少しも興味ないから」、


「僕は知らない、とにかく何のことだか」


なんて決して言えないわけで……どっちにしたところで、ただの言い訳にしか聞こえないのである。

 

巻きずしのようになってしまっている小夢はどうして良いのか分からないといった表情を浮かべていた…


「これは全部芸術のためなんだから、あんまりエロい目で見ないでよ。それとこんなことで驚きすぎ」

 

僕は金玲ねえさんとの間で行われている攻防をどう説明するか悩んでいるのだ。彼女に僕の苦悩が理解できるはずがなかった。

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