第33話姉の部屋から独り言が聞こえて来るんだが

 

しかしこれは僕には関係のない話だった。


僕はすでに部屋に戻ろうとしていたのだけれど、金玲ねえさんの可愛らしい罵声が僕を引き留めることになった。

 

「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね! あああああああああ! まさか効果がないなんて、あのクソ淫乱女! ええ、エロビデオ見てても関係ないっていうの? 変態、淫蕩! 私がいつの日があんたを三角木馬の上に跨らせて苦痛を味合わせたあげく殺してやるから!」

 

パンパンパンパンパンパンパンパンパン!

 

可哀そうなパンダがまた殴られたり蹴られたりしている。

 

それと、やっぱりあの件は金玲ねえさんの仕業ということで間違いなかったようだ。

 

けれど非常に疑わしい点が一つだけあった。それこそが僕がその場で足を停めた理由だ。

 

金玲ねえさんはどうして、あのディスクが効果を発揮しなかったってことを、もう知っているんだ?


 僕の考えがまとまらない内に、金玲ねえさんはまた恨みつらみを吐き出し始めた。

 

「次は、次は徹底的にあいつらの関係を破壊してやるから、待ってなさいよ李狂龍! ぜったい復讐してやるからあああああああ! 誰であろうが私を邪魔することなんてできないんだから! 今回ばかりは、もっとやばい手を使わないといけないようね、ふふふふ……皇玲ねえさんもきっと喜ぶ、きっと私を賞賛してくれるわ。写真、写真一枚であいつらを破滅させてやるんだから!」

 

写真?

 

なんの写真だ?

 

僕は心臓を一突され、ひとまず静観しておくことに決めた。

 

金玲ねえさんはまだ負けを認める気はないようだし、僕としても焦りは禁物だった。

 

それで僕は足音と呼吸を押し殺し、とりあえず皇玲ねえさんの主寝室に潜り込み、金玲ねえさんの陰謀をもっと観察することにした。

 

予想通り、耳だけで、僕は金玲ねえさんの動向をだいたい把握することができた。

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