第27話姉のいないところで弟は戦っているわけだが

 

小さいころはそんなことは思わなかったけれど、歳をとるに従って、皇玲ねえさんの能力には敬服するようになっていた。


家の中の六人が仲良くやれているのも皇玲ねえさんの功労なのだ。彼女は家の中の全員の個性と習慣を理解していて、全員彼女の采配の中にあり、そして誰も不満などないのだ。

 

遅い時間になっていた。部屋に戻る人は戻り、僕もまた顔を洗い、歯を磨いて、寝る準備をしている、フリをしていた。

 

見たところ機嫌が直ったらしい香玲ねえさんは謝りながら文句を言っていた。


彼女は僕が彼女の信頼を守らず、情欲にかまけて姉を無碍にしていると言った傍から、僕が怪我をしていないかどうかについて心配していた。


どのみち香玲ねえさんというのは小さいころからずっとこういう人なのだ。


怒りやすいけれど機嫌が直るのも早く、僕はただ彼女の話を大人しく聞いているだけで、彼女は満足して寝てしまうのである。


 

僕はベッドから抜け出し、pcの前へと戻ると、さっきの作業を再開した。


 

時間は限られていた。一旦小夢の脳内にに「変態」という烙印が刻まれてしまったら、僕には二度とチャンスは訪れなくなってしまう。

 

それで僕は昨日の夜は徹夜だった。全ては最後の希望をつかみ取るためだ。

 

昼休みの時間、小夢と楊文泱は向かい合って弁当を食べていた。彼女たちは揃って食べるのが遅いせいで、その時が来るまでだいぶ待たないといけなかった。

 

僕は相手の出方などお構いなしといった様子で彼女たちの前までやって来た。

 

楊文泱はすぐに臭くてたまらないといったような専門な表情を作った。まるで僕が移動する排泄物みたいな扱いだ。

 

小夢はまだマシだった。けれど以前として僕に取り合わず、僕を空気のように扱うのだった。

 

「十分だけ……いや、五分だけでいいからくれないかな」

 

僕は仕事用カバンに似たものを持っていた。

 

「ぜんぶ誤解なんだ。説明させてほしい。もし君がまだ怒ってるなら、邪魔はしないけど」

 

小夢は箸を置いた。少し迷っている様子だった。

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