第28話姉がいないと割とスムーズに話が進むわけだが

 

僕はそのまま待った。それまでの僕だった早々にすくみ上ってしまっていたことだろう。


けれど高校生活は三年しかないんだ。僕はすでに金玲ねえさんによって多くの可能性を破壊されてしまっているのである。今回ばかりは見過ごすわけにはいかないのだ。

 

彼女がいくらか動揺しているのをみて、楊文泱は彼女の手をとった。

 

「大丈夫、話を聞くだけだから、ちょっと待ってて」小夢は笑いながらそう説明してみせた。

 

僕の唯一のチャンスがとうとうやって来たというわけだ。

 

教室の外に出ると、僕は彼女の後ろに着いて行った。昼休みは実際、そんなにたくさんの人が廊下に出ているわけではなかった。


そんな静かな状況の中で、知らず知らずの内に僕たちはリラックスした足音を立てて歩いていた。

 

すぐに、僕は小夢が僕をどこに連れていこうとしているのか知ることになった。

 

僕たちは階段を上り、一番上のところまでやって来た。最上階と屋上の間にある階段で足を停めた。

 

その場所は輪をかけて静かだった。天井に蛍光灯の明かりが灯っているだけで、話をするにはぴったりの環境だった。普段、学生はこんなところにまで来ないからだ。

 

「話して、この変態」

 

小夢は鉄のドアにもたれかかり、顔には依然として不満の色を浮かべていた。

 

僕は膝を着き、雲逸から借りて来たビジネスバッグを開けた。中にはかなり小さめのノートパソコンが入っていて、僕はそいつを立ち上げると、さらに昨日持って来ていた『猛獣戦隊』のディスクを取り出した。

 

『猛獣戦隊』のディスクを一目みると、小夢の表情は更に険しくなり、顔を背けて行ってしまおうとした。僕はなんとか彼女の腕を掴んだ。

 

「説明を聞いてほしいんだ、僕は本当に変態なんかじゃないんだよ」

 

たぶん始めて僕が強硬な態度に出たからだと思うけれど、小夢は数秒迷った挙句、その場に留まることを決めたようだった。

 

相手はいつでも行ってしまうかも知れない可能性があったし、僕には時間が残されていなかった。


すぐにパッケージを開き、昨日の正視に耐えないディスクを取り出すと、説明する時間を省き、ノートパソコンの中に差し込み、再生させた。

 

小夢は口元を手で覆い、驚きの声を上げた。

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