第25話姉の仲を取り持つのも弟の仕事なんだが
けれど今の段階で小夢は僕のことを変態だと思っている。
彼女が今日僕に向けていた視線ときたら、汚い溝でうごめくウジ虫を見るようなそれだった。一体どうすれば小夢の誤解を解けるんだ?
僕の瞳孔がゆっくりと開き、突然箪笥の上に放り出してあった空のディスクを捉えた。
「くそっ! あるじゃないか!」
両手を打ち鳴らすと、僕は驚喜しながらpc内のあるプログラムを立ち上げた。
幸いにもパソコン関連の授業を熱心に受けていたおかげで、このプログラムの扱いは慣れたものだった。
ただ素材の取得にはいくらか困難が伴った。
けれど僕はネット上で探索を続けた結果、少なくない数の素材を手に入れることができた。
しばらくして、pc上の作業に没入してしまっていた僕は、部屋の外の物音がどんどん大きく、無視できないほどに大きくなって来たのを受けて、部屋の外を凝視せざるを得なくなった。
「邪魔するな! あの姉に逆らった逆姉の畜生を殺させろ! 離れろ! どけ!」
僕は心臓が跳ね上がった。
姉に逆らった逆姉の畜生という条件に合致するのはどこからどうみても僕こそが唯一の可能性だった。
皇玲ねえさんはなんだってこうも突然乱心してしまったんだろう、しかも僕を殺すだって?
状況が分からない中、皇玲ねえさんはすでに部屋に中へと飛び込んで来ていた。
元の綺麗な顔を夜叉とそう変わらないものに変化させ、手には物干しざおを掴み、今にも僕をそれで殴り殺そうという勢いだった。
中学を出てからというもの、皇玲ねえさんが僕に手出しすることは減っていたってのに、今になってどうして……
分かったぞ!
僕は皇玲ねえさんの目を見て忽然と理解した。
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