第24話姉から逃れて一人自室で考えてるわけだが

 

それ以上何も言わず、僕はすぐに喧嘩に負けた犬が尻尾を股に挟んで逃げるようにして浴室に飛び込み、できる限りのスピードで体を洗うと、さらに抜き足差し足で部屋に戻って服を着替えた。


時計をみるとまだ七時台で、僕は再び冷蔵庫からこっそりと食べ物を取り出しに行った。今晩のところは部屋から出ないつもりだった。

 

皇玲ねえさんに慰められながら、香玲ねえさんはたぶん主寝室で長姉と一緒に寝ることになるだろう。

 

学習机の前に座り、僕はなんとかして気持ちを落ち着かせた。

 

その後、すぐにpcで五十字程度の汚いメールを書いて雲逸に送った。


信じがたいことに僕はクソ童貞野郎の言葉を信用し、お先真っ暗にされてしまったというわけだ。


何が自称女性観察家だ、ちくしょう、奴の脳みそはぶっ壊れてしまっているんじゃないか?

 

そうだ、小夢のこともあったんだった。

 

金玲ねえさんは補習で遅く帰って来るけど、僕はもう部屋から出ていくことができないし、現時点で金玲ねえさんから証拠を見つけ出すことは不可能だった。

 

けれど、別の角度から考えてみれば、金玲ねえさんの奇怪な性格からして、きっと自分がやったとは認めないだろうし、かりに認めたとしておかしな理屈を山のように用意して僕に反論するに決まっているのだ。

 

「だめだ、自分でなんとかする方法を考えないと」

 

その気概はとても重要だった。重要すぎてもう一回ぐらい繰り返さないといけないぐらいだった。

 

確定はできないところだけれど、僕としてはある種の感覚、小夢はきっと僕に対して好感を抱いているに違いないという感覚があった。


で、なかったら僕にスパッツを見せるはずがない、その解釈で間違いないはずじゃないか? 


どこの少女がその場その場で見ず知らずの男相手にスカートの下を見せるっていうんだ、そういうのは親しくなればなるほど見れるものだ。

 

つまり、今回限りは、絶対に金玲ねえさんにこの芽を出したばかりの恋愛を破壊させてはならない、ということなのである。

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