第18話姉から無視されて死にそうなんだが
昨日の朝、香玲ねえさんは僕を待たずに登校してしまった。
昨日の昼、香玲ねえさんは僕に弁当を持って来ることはなかった。
今日の朝、香玲ねえさんはまた僕を待たずに登校してしまった。
今日の昼、香玲ねえさんはまた僕に弁当を持って来ることはなかった。
慣れないものではあるけれど、冷静になって考えてみれば、これはそう悪いことだとも言えなかった。
僕と彼女はもう大きくなった姉と弟なのだから、いつの日にか分かれて生活する時がやって来るわけだ。
一刻も早く適応し、僕も自立するようになれば、本当に別に悪いことでもなんでもなくなるだろう。
僕の後ろの席に座っていた雲逸が僕の肩を叩いて、微笑を浮かべながらこういった…
「お前のそのしけたツラももう二日だな。ねえさんはまだ許してくれないのか?」
「僕は何も悪いことはしてないんだぞ、ねえさんが僕の何を許すってんだよ?」
「そうだな……」
奴は僕の前へと回り込むと、前の席を引き寄せ、背もたれに腰を下ろして僕と向かい合った。
「実をいうと俺はずっと気になってたんだが、お前の家の六人の子供って、本当に血縁関係があるのか?」
僕は片手で額を覆い、弱ったようにいった…
「なんでそうなるんだよ。僕と香玲ねえさんは一歳違いだし、香玲ねえさんと三つ目のねえさんはまた一歳違いなんだぞ。そんなことあり得ないだろ」
「じゃあそんなたくさんの子供がどこからやって来たんだ?」雲逸は眼鏡を押し上げた。
「僕だって知らないよ。皇玲ねえさんだって話してくれないし。だけどどう考えたって、きっとあの親父の爛れた男女関係が原因だろうな。そのせいで後になって、結局誰が誰の子供か分からなくなって、最後にはみんなウチの親父が養うことになったってことだろ……ああ、正確には、皇玲ねえさんが養っているんだった」
こんな家庭の醜聞なんて、僕としても話したいようなことではなかったのだけれど、雲逸が何事か考えている様子でいるせいで、僕としても話さざるをえなかったのだった。
「つまりお前としても誰と誰に血縁関係があるのか確定できてないってことか。お前の父親が同時に複数の女性と交際していたせいで、その外の女性にしても複数の男性と交際している可能性もあるから、お前の家族はそもそも父親が共通しているのかすら確定できないぐらい混乱してしまっていると、つまりそういうことなんだな?」
「まあな……」
「どうしてDNA鑑定をしてみないんだ、それで答えははっきりするだろ?」
「それは皇玲ねえさん最大の禁忌なんだ。誰も一番上のねえさんの逆鱗なんて触りたくないんだよ」
「つまり……一番上のねえさんはお前たち全員を同類だとみなしているってことか?」
「知らないよ。凡人には李皇玲の考えてることなんて推し量ることはできないのさ」
「俺も女性のことはよく分からないけど、お前の五つ目のねえさんはきっと板挟みの状況にあるんだろうな。一方は弟、一方はとなりのクラスの男子、それでヘソを曲げてしまったんだろう」雲逸は自分の下あごをひねった。「お前その告白して来たっていう先輩が誰か知ってるか?」
「三年忠班の先輩みたいだ。調べてみたけど、成績も優秀、顔もカッコいいらしい」
「つまりな、お前の五つ目のねえさんはきっと心が揺れ動いているんだ。だけど安心もできない。自分が彼氏を作ってしまったら、お前の面倒をみる時間が大幅に減ってしまうからさ」
「香玲ねえさんが……どうしてそんな考え方をするんだよ?」
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