第10話 開発者から管理者への転換
コレが一番ヤバいです。超難敵です。ラスボスよりも強い中ボスみたいな感じでしょうか。開発者である事にヤリガイを感じて業界に飛び込んだのに、その一番のヤリガイである開発行為を他者に一切合切明け渡した挙句、おまけに一番興味のない開発管理や進行管理を任されるのです。
Is this a Nightmare?
Exactly!HAHAHA!!!
ゆーてる場合じゃありません。とにかく開発効率やデザイン論、UI/UXなんかばっかり考えてきた脳味噌に突然管理の話なんかヤらせようったって土台無理です。これは相当に苦戦しました。どうすれば出来るだけロスなく開発進行を監督出来るのか?こんな、今でも「そんなもん答えなんかないわい」と思えるような事を、あれやこれやと必死に考えていたものです。
しかし努力量の割に、成果は微々たるものでした。
管理者になってまずヤった事はなんだったのか。
何事も最初の一歩が肝心です。そして僕は形から入る男です。形から入るのって結構イイと思うんですよね。なんと云うか演武みたいなもので、まず身に着けたい所作の型を繰り返し練習する事で、体が反射的に動くようにするって事ですから。
役員てのは基本的に「会社を前に進める役」です。採用、投資、教育、人事考課、開発力強化、財務、会計、関係会社強化、とかとか、漢字のやる事ばっかです。でドレにも書籍がわんさか出版されていてドレもとても面倒そうに見えました。
とにかく頼る人がいない時には本を読むに限ります。同じような困難を前にして、僕なんかよりももっと考えて解決策を見つけた人が過去にはたくさんいるハズですから。僕の困っている事なんてきっとアルアルネタのひとつに過ぎない、と思ったんですね。
でもダメでした。
多くの書籍は、会社員経験を当たり前のように通り過ぎて来た事を前提に書かれているもので、僕には当てはまらなかったんですね。企業家達のセンセーショナルな手記などもあるにはあったのですが、今度は内容が読み物化していて、自慢話とラッキー話にまみれていました。これも役に立ちません。
でどうしたのか。
難しい本はその瞬間には難しいままだと思ったので、むしろ分かりやすさだけで本を選びました((分かりやすさだけで本を選ぶ:みなさん本を買う時ってどうやって選びますか。作家が好きで駄作でも傑作でもどのみち読むからイイ、みたいな場合ではなく、専門書やビジネス書、勉強の手助けとなるような書籍を選ぶ時の話です。僕はあまり買う前に内容を立ち読みしないようにしています。見るのは目次と奥付だけです。目次を見て、これはぜひ読みたい!とか面白そう!とか強く興味を惹かれるものを選ぶ為です。目次の時点で魅力がないものは、自分に合わない事が多かったからです。あと奥付を見たいのは、一体いつに出版されたのかと云う点と、何刷りかを知りたい為です。目的にも寄りますが、あまり古過ぎるものは欲しい情報に適さない場合があるからです。あと、増刷が重ねられた書籍はよく売れたのでしょうから、汎用性の期待値が上がるのです。))。つまり、新入社員が読むような本です。組織のイロハだとか、社会人としての礼儀だとか、初歩的なものもありましたし、意識高い系新卒正社員向けのちょっとイキった感じのものもありました。
これが大いに役に立ったんですね。
管理される側の心得や礼儀や知識が書かれているので、そうした人々の業務外範囲や待たれている指示なんかを、逆算的に想定したって感じです。結果的に、両側面から物事を見る事にもなったので、結果オーライ!ラッキー!って事にしました。
すると段々、最初は難しそうと思えた書籍が読めるようになったんです。ラッキーの連続です。お得感ありました!
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つづく
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