第9話 個人戦からチーム戦への転換
最初の壁はコレでした。会社立ち上げから5年くらいはずーっとこのテーマで七転八倒しまくっていたような気がします。元々が1デザイナ出身でフリーランスもやってたりしたモンですから、基本的に自分が動かないと死んでしまう人種なんですね。自分自身の性質が正にそうだったので、仕事においても自分の担当業務は基本的に自分一人でこなすものだと認識していました。
ところが会社組織ではソレをやっちゃあいけません。
企業にお勤めの方々からすればごくごく当たり前の事だと思います。しかし、新入社員研修などの教育を一切受けた事がないままに会社役員とかなっちゃうと、そんな当たり前の事がさっぱり判ってないわけです。
とは云え、曲がりなりにも会社組織になってしまった以上、個人で消化出来る程度の仕事量ではなくなってきますから、やり方を変えざるを得なくなってきました。「変えよう」と思ったワケではなく、仕方なくそうなったと認識していると、変化を推進するカロリーは低めなんですね。
で、5年もかかっちゃったわけです。
「誰かに仕事を任せる」と云う事を実行する為には、それまでとは全く違ったベクトルの様々な準備が必要だと思い知る5年だったとも云えます。最初は方法論が何もなかったのでかなり非効率な働き方をしていました。
・デザイン要件をまとめる
・デザイン指示書を作るor頭の中でまとめる
・打合せをしてスケジュールと要件を部下に指示する
・予定日にデザインリソース・データを回収する
・出来栄えに納得出来ないのでリテイクを返す
・再提出されたデータに納得いかないが作業期間は残っていない
・徹夜して自分で直す
・納得できるものになったが体はヘロヘロ
・部下の成長が遅い悪循環スタート
だーいたいこんな感じ。クリエイティブ系のお仕事されている方だったら一度や二度は思い当たるんじゃないでしょうか。そらそうなんですよね、それまで自分でOKラインを決めて自分で作業していたのだから、同じやり方で他人の成果物が同じ結果にたどり着くワケないんです。
でも本人はなかなか気が付きません。
人の成長について、真剣に考えだしてからです、ちゃんと人に仕事を任せる事が少しづつでも出来るようになってきたのは。「完璧主義」と誤解されがちですが、これは単なる自己中心的性格の一側面に過ぎないな、と思います。云いかえると、成果物のディテールに捕らわれるあまり仕事(orプロジェクト)全体の目的やゴールを見ていなかった、てことでしょう。
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つづく
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