第7話 法人化を望む声

瀕死状態を乗り越えスーパーサイヤ人みたいな存在になった(気分)の僕は、主にデザイン案件を受注していたわけですが、僕をフリーランサーに誘ってくれたもう1人のスーパーサイヤ人(彼は恐らくこの時点で3……)はデザイン業務半分、営業半分、と云った配分でした。


 つまり、彼が仕事を取ってきて、僕がメインで製作し彼も手伝う、的な。もう1人の事務所メイトだった企画マンは、主にクライアント様の会社に常駐してディレクション業務を担当する事が多かったので、実は殆ど事務所には居ませんでした。


 それでも家賃は三等分だったのですから、僕は得した気分でしたが。


 そんなスタイルで数年も仕事をしていたら、自ずとお得意様クライアントなる存在が出来たり、案件規模もまあまあ大きくなってきたりするんですね。


 この当時は毎月のギャラが大体平均すると45万円/月くらいだったでしょうか。ただし無い月は0円ですかは、あくまで平均です。上下動の激しい経済状態でした。


 流石に作業量も多くなって来ましたから、アルバイト・従業員も3人程増やし、なんとなくのチームを作って仕事をしていました。


 そんな中、とあるお得意様クライアントから提案が出ます。


 そろそろ法人化したら?


 案件規模が大きくなって来たので、発注額も膨らんで来た、法人化してもらわないと大きな発注がやりにくいんだよねー的なアレです。


 僕は法人化に全く興味がなかったのですが、営業肌の彼はアッサリそれを受け入れます。法人化するしこの事務所も引き払うつもりだけど、手伝ってくんない?と云ってもらえたものですから、僕もあ、イイっすよくらいの感じで快諾します。


 その2週間後には会社が出来ました。


 えっこんなに簡単に会社って作れるの?


 当時はまだ有限会社が設立可能でした。資本金300万円の会社はこうしてスルリと出来上がりました。そして、それまでズルズルのフリーランサーだった僕は突如、会社役員と云うとんでもなく偉そうな役職にジョブチェンジしたわけです!


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つづく

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