第2話
そんな感じで僕のバンドマンとしての活動が始まった。正直いろいろな音楽を聞いてはいるのだが、この時期はほとんど女性アイドルしか聞いていなかった。
初めての合同練習、スタジオに入っての練習だった。ここで初めて知ったのがメンバーの楽器パートだ。和人がベース、風雅がドラム、そして弘毅と圭介がギターだ。みんな楽器歴はまぁまぁあるらしい。なのでみんな楽器を持ち込んでいた。
僕はボーカルなので物は何も無い。たぶん全世界の単品ボーカルのいいとこは、持ち運ぶものがほぼないことだろう。手ぶらでラッキーだと本当思う。
だが、みんな楽器の音出しなどをやっている時は本当に退屈だ。僕はマイクの音量を確認するだけ。みんなはいろんな音を出している。こういう時は楽器隊いいなと思ってしまうとこが自分で嫌いだ。
みんながチューニングなどをしている時、ふと気づいてしまったことがある。「そういやなんの曲やるんだ?」メールでも何をやるかも言われていない、ましてや曲なども作っていない。全員の準備ができるのがこれほど恐ろしかった時はこの先絶対になかっただろう。
全員の準備が終わった。絶対にこの時間が無駄になると思った。たぶんこのバンドのリーダーであろう弘毅が喋り始めた。「じゃあ合わせるか!」
こいつは何を言ってるんだろう。何合わせるんだよ。僕はマイクを持っていたが、なぜか心の中でシャウトをしていた。
過去のバンドマン 輝凛 @kirin-178
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。過去のバンドマンの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます