第2話 ごめんなさい。

僕は、1年から音楽がとても好きなことから吹奏楽部に入りたかったが、親に楽器を買う金はないと言われ、美術部に入った。


美術部の顧問は少し苦手だった。絵のセンスもさほどない。みんな油絵を先行していたが画材を買う金もないため水彩画にした。僕だけ水彩画。なにかとくべつにこだわりがあるわけでもない。でもひたすらに絵を書き続けていた。へたっぴな絵を書き続けていた時に風景画を書いた。風景画だけは何故かそれなりに描けた。僕の心を移しているようなその曇り空と僕の方に歩みを進める人影。それはまるで新たな誰かが僕に何かを悟りに来ているようだった。


そして、夏休みまた児童相談所のワーカーさんとお話する時間が来た。学校で部活中に呼び出された。僕は特に何も考えずありのままのことを、減らない父親からの虐待、加速する女の人からの暴力。精神的に辛いことなどをすべて話した。学校にワーカーさんが来ていたことから、学校の担任や顧問の先生にも心配された。「大丈夫。お前なら頑張れる。でも諦めることも大事だ。何もお前がすべて耐えることじゃない。」いつも怖い顧問の先生からお昼食べてないでしょと手作り弁当とパック豆乳を貰った。とても美味しかった。いつぶりだろ手作りの弁当を食べるのは。小学生の運動会ぶりかな。僕は先生が去ったのを見て半泣きでほうばった。何でだろう。


何でみんなここまでしてくれるのだろうか。今までは僕だけさえ我慢すれば誰にも心配かけずに頑張れたのに。ずっとずっと頑張ってきたんだ。苦痛じゃなかったといえば嘘かもしれないけど、弱音を吐いたら終わりだと思ってた。


そしてワーカーとの面談も終わり、「さぁ行こう。もう家にはいさせられない。これ以上あなたを見放してられない。」ワーカーさんが放った言葉それが何を意味してるのかわからなかった。


頭が真っ白のまま、校長先生と担任、ワーカーさんと僕の4人で校長室へ行った。「春樹くんをこれ以上家にいさせるのは危険と判断し今日、一時保護所へ春樹くんを送りますので宜しくお願いします。」ワーカーさんが言った。「そっか、春樹くんもこれから頑張って!私達はずっと応援してるから。」担任が言った。「何も気にしなくていい自分の生きたいように自由にこれから生きてきなさい。」校長が言って僕とワーカーさんは、車へと向かった。


最後に顧問が僕を抱きしめて「頑張りな。お前は強い。だから頑張れ。」抱く腕は強かった。苦しいとまで感じたかも。でもその力強さが僕への気持ちと知って僕は泣いてしまった。「ごめんなさい。頑張ります。」言葉にもならないまま僕はお別れを告げた。

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