夢・居場所
moai3
第1話 変化
僕は埼玉のまだ栄えてる町に生まれ、身体に不自由もなく平凡に生きていた。
僕は三人兄弟だ。妹のサキ・兄のユウタ。兄とはよくけんかはするもののいつもゲームをしたりとても仲が良かった。妹とは、一緒に出掛けたり公園で遊んだりとにかく仲の良い兄弟だった。
・・・だった。
それは、いずれも幼い頃の思い出。
僕の家は、二世帯住宅だ。お父さんの父母の家でずっと暮らしていた。僕が物心ついた時期、というかそれを気付いたのは小学五年生のころだ。僕らには母がいない。母との記憶もない。ただあったのは、母が僕にミルクを与えている一枚の写真。
小学五年生。僕の家に一人の女の人が来た。お父さんが連れてきた人だ。それまで平凡に暮らしてきた僕ら家族だったが、その女の人のせいで人生が狂った。
女の人を連れてきて数か月後、急にお父さんと祖父母との仲が悪くなった。毎週末のごとくけんかをする日々だった。その都度お父さんの機嫌が悪くなっては、お兄ちゃんに暴力をふるっていた。夜寝かせず一日ずっと正座をさせられたり、目覚まし時計や分厚いコミックスを投げつけられては怒鳴られる。そんな日々の毎日に代わってしまった。
お兄ちゃんは、耐えて耐えて耐え続けたがついに耐えきれず、祖父母の親せきの家へと避難した。それでもお父さんの暴力はやまない。今までターゲットであったお兄ちゃんがいなくなった今、妹は祖父母に守られているなか次のターゲットとなったのは、僕だ。何も悪いことをしていないのに。ひたすら毎日暴力の毎日。昔からお父さんのことが大好きだった僕はすごいショックを受けた。祖父母すら守ってくれず。お父さんが連れてきた女の人も機嫌悪かったら僕に暴力。逃げ場がない。ただ一つの逃げ場が、学校だ。僕は学校がとても好きで先生も友達も好きだ。毎日が楽しかった。週末なんて、夏休みなんてなくてよかった。
そんな日々を過ごし、もう中学二年。お金がないときは、ごはんすらまともに食べられなかった。冷蔵庫をあさり食べ物を探す毎日。お父さんが帰ってきて、学校で疲れてる僕に暴力。ただ、僕は逃げ場がない。独り立ちするまで我慢するしかないと思っていた。だって、そんなお父さんでも普段機嫌のいい時のお父さんはいつものお父さんでとても好きだから。
ある日。学校で身体測定があった。保健室で短パン一枚になり、身長と体重を測定した。そのとき、保健室の先生に「そのあざどうしたの!?」と言われて気づいた。その前の晩に女の人に布団たたきで思いっきり何発もたたかれたあざがみみずばれになっていた。「いや、転んだだけです。」なぜか僕はごまかしていた。しかし、保険の先生から担任へと話が届き、暴力を受けているのではないかと問い詰められた。言いづらかった。隠す意味もないのだけれど何かすべてが終わってしまうと感じた。結局、すべてを話すことにした。すると、児童相談所という児童保護等をしている場所へ連絡をしてワーカーさんと話をすることになった。すべてを話した今までのこと。すると「そうか。今までつらかったな。少し様子見て改善しないようなら対策を考えよう。」ものすごく怖かった。まるで僕が何か悪いことをしたかのように・・。
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