第4話 夏蜜柑

「ただいマンモス」

返事がない。

一階の広間のTVから

高校野球の音だけが聴こえる。

…あれ、寝てるのかな?

僕は台所に向かった。

少し麦茶を口に含み、広間に向かう。

姉が寝ていた。

少し顔がにやけている。

肩を叩いて起こそうとした瞬間……

「ワッ!」と驚かされた。

口に含んでいた麦茶が畳に散った。


「けんちゃーん!用意して〜」

「先に2階に行ってるから〜!」

グラスふたつにコンビニで買ってきた

純度99.9%のロックアイスを入れた。

透き通る嘘のない透明。

クリスタルのような輝きがあった。

冷蔵庫を開け、

チューハイを探していると

飼い猫が足元にスリスリしてきた。

期間限定 夏蜜柑味のチューハイを

グラス注ぐと、

飼い猫にご飯をあげた。


2階の自室に入ると、

TVの前の座椅子は姉に占領されていた。

机の上にグラスを置こうとしたが、

姉の化粧品が散乱してるので

床に置くことにした。

「片付けてよ!」

「ダメッ!朝必要なの!もう習慣なの!」

困ったものだ…。

「うるせ!」

姉の口にあたりめを突っ込んだ。

「ふがっふが」


借りて来たビデオを観始めた。

なかなか怖い。

Replayから静止ドアップやめてくれ。

近づけないでくれ。

Twitterを開いて、TVから目を逸らした。

「ねぇ、ちゃんと観て!」

太ももをひっぱたかれた。




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