長い夢を見ていた

僕は長い夢を見ていた

その先のことをすっかり忘れている

あまりに長い夢だったせいだ

僕はぼんやりと空の墓場にいた

そして墓場は月の上に隣接している

僕は死について考え続けた

長い章の話も書いた

結局それらは宙に浮いたまま

ゆっくりと時間をかけて消えていった

他にすべきこともない

ただぼんやりと空中に舞った死は

いつだったか忘れたころに僕の手を握った

僕は冷たさに月面にいたときのことを思い出した

あの頃は宇宙線が雨のように月面に降っていた

僕は長い間悲しみについて考える

そしてそれは地上で降る雨に似ていた

僕は長い間憂鬱の中にいたのだ

雨が降る音が好きだった

そして雨でびしょぬれになったあじさいの葉をずっと眺めていた

ベランダには水が滴る

空から白い光が射した

もう死はそこにいなかった

月面の墓場は

僕の頭から姿をいつの間にか消えた

憂鬱の光の美しさを見た

青い光と白い光がまじりあって綺麗な空を彩っていた

夜になると月の光が帰ってきた

すべてはうまくいっているように思えた

だから僕はそっとそこを抜けだした

目が覚めると部屋のベッドの上にいる

確かにあの日見た景色は本物だった

そして長い間忘れていたことは

確かにこの地上に存在しているのだ

それらは切なさと輝きに満ちて穏やかな光を放っている


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