いつだったか

いつだったか

僕は月の表面を旅したことがある

いつだったか

僕は雨のように泣いたことがある

いつだったか

僕は空を見て幸せを感じたことがある

いつだったか

時間は過ぎていく

そこにもう過去の自分はいない

そんな世界の中で

僕は言葉の海を泳ぐ

ページをめくれば

そこには宇宙が広がっていた

そしてそこからいろいろなことを考えては

黒板の文字を消すみたいに

記憶は消えていく

いつだったか

空き缶を蹴飛ばして遊んでいた

そんな小さい頃の思い出は

今でも鮮明に覚えている

いつだったか

君と一緒に歩いたことがあった

その時僕が何を考えていたか

今でもはっきりと覚えている

長い間忘れていたことを

ふいに今感じた瞬間みたいに思い出すことがある

通りには冷たい雨が降っていた

空には灰色の大きな雲が浮かんで

辺りを覆いつくしていた

時折雷がはじけた花火みたいに響いた

そんな世界で僕は息をしていた

だからもう一度

僕は追憶に手を伸ばす

とどかない記憶の断片をつかもうと

細い腕を伸ばして

手の平の中にそれを収めようとする

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