夜の闇

夜は暗く

通りには人がまばらだ

月は地球に落ちてきそうなほど大きく

空に浮かぶ雲がゆっくりと風に流れる

静かに時間が過ぎていく

僕はふと夜を思い浮かべる

夜には星空が大地の上に浮かび

銀色に輝く星が

空から雨みたいに降ってくれば

きっと地上も輝くだろう

静かな夜に夢の中で

空から星と月が落ちてくる

それらはすべて地上ではじけ

無限に続いた地球を終わらせた

すべては一瞬の美しさとなって

はじけて消えてしまう

ゆらゆらと揺れる火

僕は部屋の中でたばこの煙が舞うのを見る

宇宙は広大で

その中にいる僕は孤独を抱えている

誰と会っても物寂しく

そしてそれはやがて

夏が過ぎて秋がやってきて

秋が過ぎて冬がやってくると

しだいに心の中に居場所を見つけて落ち着く

静かなライターの火が

部屋の中に音を立てる

一瞬の青い火の光が

夜の闇の中に輝く

もし地上で起こったことすべてが嘘でも

こんな風に悲しくはならないだろう

喜びも悲しみも

季節とともにやってきて

僕のもとへやってきたり

離れていったりするけれど

それらはすべて心の世界を彩る絵の具みたいなもので

些細な人間の悩みに過ぎない

太陽はまだここにはやってこないようだった

夜の闇の中に僕はぼんやりとたたずむ

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