第146話ダワパッチャ様
我は、ノンキに突きを放った。
あんな奴この一突きにて終わりよ。
しかし、その突きは空を切った。
『何!!』
避けられる筈はない、何故なら避ければその直線上にいる雌ゴブリンをも貫く一撃なのだ。
卑怯?卑劣?ボブボブ、それは誉め言葉よ。
ゴブリン達にとって、ダワパッチャにとっても
強さこそが真理であることは間違いがないが
ダワパッチャは、強ければ絶対に勝利できるとはおもってなどいなかった。雌ゴブリンにもノンキ相手にも殺さぬ様に手加減しているとは言え、油断などはなかった。
しかし!
ダワパッチャの手に握られていた筈の青銅製の槍は手には無く彼方の地面に突き刺さり
ダワパッチャの首には、ノンキの槍の穂が構えられていたのだ。
『わ、我の負けだと…。』
崩れ落ちるように片膝を付いたダワパッチャだったが
何がどうなったのだ!?やられた本人は何が起こったのか分からなかった。
先ほどダワパッチャが雌ゴブリンにして見せたような力と武器の性能で弾き飛ばしへし折ったのとは違う。何か!
狐か狸にでも化かされたように目を見開いていた。
ダワパッチャの陣営は騒然とした
『ダワパッチャが負けた!』
『ダワパッチャが負けた!』
しまいには動かないダワパッチャを見た1匹が
『ダワパッチャが死んだ!!』
と勘違いしてしまった。それは今まで、ダワパッチャが敗者には死を与えていたのだから、最初に叫んだ1匹の責任を追及したとて、無罪放免である。
『死んだ!死んだ!ダワパッチャが死んだ!!』
騒然となるが、今迄ならば激昂したダワパッチャの声が響いたが、残念ながらダワパッチャは死んではいないが、死んだように動かなかったのが、それを真実としてしまったのだ。
口元だけを見れば何やら小さく呟き動いてるのが分り、ダワパッチャは死んでいないと直ぐに分かるが、混乱したダワパッチャ軍の支配されていた部族のゴブリン達はダワパッチャを置き去りにして勝手に撤退を始めてしまった。
残ったのはノンキ達と、ダワパッチャが最初から率いていた部族のゴブリン達だけであった…。
ダワパッチャはいつまでも
『…何が起こったのだ?どうやって?』
そう小さく呟いていた。
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