第145話食客ノンキ

一対一で対峙したがノンキに武器がなかった。

近くにあった、地面に刺さったリーダーゴブリンの槍を引き抜くが、なんとその槍は抜けた表しにポキリと折れた。折れた槍を捨て、武器を探している所に声が掛かる


族長の家からノンキを連れてきた戦士ゴブリンである


「ノンキ殿、この槍をお使いください」


ノンキの元へと槍を投げる。くるくると回りながら

ノンキの元へと一寸の狂いもなく飛んでいったが

ノンキはそれを避け、ポテッと落ちた槍を拾った。


ダワパッチャの兵士ゴブリンからは嘲笑うボブボブと笑い声が上がる。そんなのも取れないのかと


しかし、ノンキは痛々しい左手を上げた。

言い訳のためだ。負傷で大事を取ったという建前だ。


しかし、今度はリーダーゴブリン達側のゴブリン達からボブボブと歓声が上がった。


ダワパッチャ相手にこの左手が使えなくとも勝てると取られてしまったのだ。

片手だけで余裕のよっちゃんだと。


『静まれェイ!!』


ダワパッチャが叫ぶ、両陣営共に静まり返った。


この時もダワパッチャは余裕を見せていた。

武器を持っていない時点でノンキを突き殺すことも出来た、拾う隙に突き殺すことも出来たが敢えてしなかったのだ。


その余裕は何も油断していた訳ではない、確信があったのだ。


「貴様!卑怯な!!」


一番最初に気付いたのは奇しくも、破れ去ったリーダーゴブリンである。

何かおかしいと思ったのは、ノンキが地面に刺さった槍を持ち上げたさいにポッキリと折れてしまった槍である。元々自分の槍であるのと、一族では一番であったリーダーゴブリンが一番出来の良い木製の槍を使っていた筈である、少し手の痺れがあるのはダワパッチャの怪力によるものだとか思っていたのだが、よくよくダワパッチャの槍を注意深く見てみると、槍の柄は何やら鈍く青黒く光っていた。

どうやら今までは土で汚し木製の槍と偽装していたようだが時間と共に少しずつ化けの皮が剥がれてきたのだ。


「へー、青銅の槍ゴブ、珍しいゴブなぁ」


ノンキはその槍の特長をすぐさま捉え、看破した。


『ボブボブ、分かった所でもう遅い、行くぞ!!』


ダワパッチャに動揺は無い、持っているのが悪いのでは無い、持っていないことが悪いのだ。



ダワパッチャは青銅の槍で渾身の一突きを放った!!

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