第143話ダワパッチャ様
ボースボス、ボスボス!!
解読、変換中。
我はダワパッチャ!砂漠のゴブリン達を支配する未来の王なり!我は生まれて直ぐに進化を果たした。
一年経たぬうちに戦士ゴブリン達と共に狩りに出ては
一人で獲物を仕留め持ち帰り。
他のゴブリン族との戦いでは戦功を上げ一年と半年目にして戦士長となり、二年目には我がダワクチャ一族を率いる族長となった。
周辺の3つ部族を平らげ一族は大きくなった。
近くのオアシスを一つ支配していた部族をも追い出したが、とうとうそのオアシスも枯れ掛けた頃に朗報が舞い降りた。
オアシスを追い出した部族が逃げた先に豊富な水源があると言うのだ。
我等は早速、豊富な水源を治める集落へと赴き包囲した。多勢に無勢、我等の半分以下である奴らは慌てふためいている。
「無駄な抵抗はやめ降伏しろ!そんななりの小さい奴らが何匹居た所で、このダワクチャ族一の勇士であるダワパッチャに敵うものか!」
槍を振り回し威嚇する。
我の声に続いて包囲していた兵士ゴブリン達が手に持つ、槍と盾をガンガンと打ち鳴らした。
「貴様!!」
一匹の雌ゴブリンが我の元に駆け込む。
『ボースボス、先陣が女子供とはな!笑止千万!』
槍を構え数度打ち合う。
『ほう、中々の力量!そして器量や良し!』
ニヤリと笑う我にはまだまだ余力がある。
「父様と母様の敵!!」
息を荒くしながらもこの雌ゴブリンは打ちかかって来た。
ほう、殺した幾ゴブの中に親がいたか!
まぁ珍しいことでもないわ!!
『ふん!』
少し力を入れ相手の槍を吹き飛ばす!
飛んだ槍はくるくると回り地面に突き刺さった。
ガクリと膝から崩れる雌ゴブリンに
『ボースボス、お前を我の嫁にしてやろう!」
しかしこの雌ゴブリンは
「クッ殺せ!貴様なんぞに屈するものか!」
懐から予備の槍の穂先をとりだし、己れ自身の喉へと止める間もなく突き刺そうとした。
しかし、誰ぞの手によりそれは防がれた。
ポケーッとした一匹のゴブリンである。
今までどごぞに居たのか知らないが、中々の早業である。
「何をするノンキ!止めてくれるな!!」
ノンキと呼ばれた無象の一匹に過ぎないゴブリンが優しく雌ゴブリンの頭を撫でた。
ゴブゴブ、ボブボブ、ボスボス言うてます。
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