第141話客人ノンキ
ノンキが砂漠ゴブリンの客人となって1月が過ぎた
族長ゴブリンからお使いを頼まれ、村を歩いていると
何時ものように、リーダーゴブリンがちょっかいを掛けてきた、軟弱だとか少しは戦闘の訓練でもしろとか
色々言われるがノンキあんまり気にしていなかった。
ノンキは船ではあまり強い方では無いのを自覚している。しかし、オークキ姐さんとの戦闘訓練では他の船員(クルー)ゴブリン達が瞬殺されるなか、一分ほど耐えきったりと少し一目置かれていた。
ペコペコと頭を下げ族長のお使いを終わらせる。
族長のお使いは多岐にわたる。
囲いの柵が古くなってきたと見回りのゴブリンが族長に陳情すればそれをノンキがトンテン、カンテンと
大工仕事をしたり。
この砂漠と呼ばれる場所では特に貴重な水の調達の運搬作業員が足りないとなれば、ノンキがせっせと何往復も運搬したり、子供ゴブリンの遊び相手が居ないとなれば、ノンキが背中に2子ゴブリンに両腕に1子ゴブリンずつに両足に1子ゴブリンに頭に1子ゴブリン
に腹にもピタッと抱きつく1子ゴブリンを入れて計8子ゴブリンをあやすのを3セット、族長を含めた老ゴブリン達の肩や腰をマッサージを5セット、等を頼まれる。
数日過ぎると老ゴブリンと子供ゴブリンに大人気となっていたノンキ。
戦士ゴブリン達には冷やかな目で見られているのだが
生まれ持ったパシリ根性と鈍感特性を併せ持つ奇特なノンキは気にしていなかった。
冷やかな目筆頭である、リーダーゴブリンからは
今日とて、冷やかな声で小言も言われているのだが
ノンキの鈍感特性が光っていた。
『孫娘がすまんのう』
ノンキの背から族長ゴブリンが話し掛けてきた。
話の意味が分からないノンキであったが、
族長ゴブリンはリーダーゴブリンの去る背中を見つめ
『はぁ』っとため息を吐く。
『昔はあんな厳しくあたる事など無かったんじゃがなぁ…』
「え?」
ノンキはリーダーゴブリンが族長の孫であることに驚いたが、雌ゴブリンであったことに驚愕した、ほぼゴブ美姐さんと同格である。
族長ゴブリンは昔の話を語りだした。
まぁ簡単にまとめるとリーダーゴブリンが幼い子ゴブリンであった頃に両親ゴブリンを近くの蛮族ゴブリンに殺されてしまうというゴブリン界隈では割りと少なくはない出来事であるが、悲しい出来事であった。
『ふぉっふぉっふぉっ、長く語ってしまったわい
ノンキ殿に対して何故じゃか口が軽くなる、不思議なお人(ゴブリン)じゃのぉ』
ひとり納得して族長ゴブリンはヨボヨボと自分の住まいへと帰っていった。
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