第81話公国軍大臣

わしはマルベスト公国の大臣に就いている

トマス・オーデイリィア。


わしはオーク傭兵団を公国で雇うのを反対したが若君は両手を上げて迎い入れた。


その判断は帝国軍との初戦に勝利した今となっては正しかった訳だが、

オーク傭兵団のヒースクリフと言う参謀が

砦を攻めると案を出した時はまたしても無謀だと反対した。


砦にはまだ数千の兵士が詰めており、古来より城攻めは最低でも三倍の兵力が無いと成り立たず、相手は籠城と言っても東側からの補給は容易で兵量攻めも効果など無い。

いや、公国の兵士を賄う方が問題がある位だ



しかし、若君に押し通され、オーク傭兵団が砦へと向かうが3日、いや2日後の朝迄に合図が無ければ撤退すると約束をこぎ着けた。


もうじき約束の時間となる。

流石に奇跡は2度も起きるほど安くはない

砦からいつ帝国軍が討ってでてくるか、分からない緊張感からかこの二日間ろくに寝ることも出来なかった、若君にも諦めてもらい

帝国との停戦交渉がこの先待ち構えている。

初戦に勝利出来たとて主導権はあちらだろ

降伏した国は手荒い統治ではないと聞くが

王族は赤子まで斬首するほど徹底されている


その為保身に走る貴族共もいるらしい。

マルベスト公国でも…、わしではないぞ!

断固として違う!!



先代の公王とは父の代からの同年の幼なじみで、共に育ち学び、戦場を駆けた。

わしは子宝には恵まれなかったが、若君の事を我が子の様にも思っている。

若君を残し先立ったあいつにも頼まれておるのだ、この命に代えても何としても若君だけは…。



感傷に浸っていると砦が騒がしくなり

ズシンっと轟音が聞こえた!


偵察兵に確認させると、何と鉄の壁が落とされていると言うのだ。


オーク傭兵団の作戦では、何とか中に潜入し

あの壁を落とされる前に門を制圧し

公国兵を招き入れる作戦であったのにこれでは…。


失敗か…頭に過る。自ら逃げ場の無い死地に飛び込んだのだあのオークは…。

あの鍋は旨かったのに残念だ…。



突然若君が馬へと飛び乗り駆け出した!

若君作戦は失敗です!!お引きください!!


若君は振り返りもせずに何とか数人の供回りだけを連れ砦へと向かっていった。


これ馬鹿者共!!早く若君を止めんか!!


え?何?合図があった?


わしが感傷に慕ってある間に?


なら早く若君を追いかけんか!!

わしもいくぞ!!


こら!やめんか!なぜ止める!

さては貴様保身に走る馬鹿者共の…


え?若君にわしをここで待たせるように言われてる?何故じゃ!


ジジイは足手まといだからじゃって?

それは若君が言われたのか?

お前の意見?ほほう剣の錆びになりたいようじゃな?


何?もう1人の父を亡くす訳にはいかない?

そう若君が言われたのか?そうか…


お前達は何をしておる!!早く追いかけんか

若君を御守りしろ、絶対じゃぞ!!



親友よ、そなたの息子は立派な若者に成長しておるぞ。

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