第80話帝国軍隊長

公国の襲撃に備えさせるが、一向に攻める気配はなし。この鉄壁の砦に恐れをなしたのなら仕方なし。


日が登る少し前に敵襲の声が上がった。

急ぎ西側の公国軍を伺うが動きは無いが

敵はいつの間にか砦内へと侵入していた。


悪魔だ!!悪魔がでた!!


兵士の声に現場へと駆けつける。

なんだ?あれは!

暗がりから突然巨体が現れ、近くの兵士を投げ飛ばし、ズンズンと砦の中を我が物顔で歩いている。


松明の光が照らした顔は恐ろしい程に醜悪だ

オーク!!これが悪魔の正体か!!


狭い通路が続くため巨体なオークは窮屈そうだが帝国側から1人又1人と被害がでる。


通路では人数を活かすことが出来ないと不利を悟り、広間に釣りだし数を頼みに周囲を囲むがそのオークは苦にもせずに近場の兵士から片付けていく。



しまった!!こんな場面で公国軍に攻められるとたまらん!すぐに鉄の柵を落とせ!!


指示を出して直ぐにガシャンと大きな音が

聞こえた。


オークはその音に気付き、突然兵士を振り払い音のした方向へと走り出した。


今さら行ったとて、何出来るものぞ!


これはチャンスだ!近接では被害が大きかったが、門前まで出れば袋のネズミならぬオーク、弓矢の餌食にしてやる!


そのオークを追いかけるとなんとそのオークは、鉄の柵を引き上げる鎖を引っ張りながらも帝国兵士を蹴散らしていく。


まさか!!いやそんな筈はない!!

あの鉄の柵がどれだけの重さがあると思っているんだ!!オークの一匹で引き上げることなど絶対に不可能だ!!


しかし、オークはズリズリと少しずつ少しずつ前に前にと歩き出す。

ギシギシと鉄の鎖の軋む音と共に、動かない筈の鉄の柵が動き出した。


「とっ止めろ!!」


一斉に兵士達がオークはへと襲いかかるが

前進を止めないオーク。


「そうだ!矢だ!!射掛けろ!!」


「今のままでは歩兵にも被害が!」


止める副官を振り払う


「ええい、うるさい放て!!放て!!」

一度歩兵を下がらせないと仲間の兵士に被害が出ますと静止する副官はを無視し弓矢の雨を降らす。


帝国兵士から被害も出るが、その矢の雨は

オークにも被弾し前進を止める事にも成功したのだ。


「いける!いけるぞ!!」


「もう一度だ!!ハリネズミのようにしてやれ。それ!!いまだ!!放て!!」


ふはは!悪魔を仕留めたぞ!!これで私も昇進だ!!


熱くなり過ぎ静止する副官を突飛ばし

オークの死にざまをこの目に焼き付けようと

二階の手すりから身を乗り出した。


その時、一本の矢が将軍へと放たれたが

将軍の目にはオークしか写っておらず

周囲の者もその矢に気付く者は居なかった


突然将軍が弾かれたように仰向けに倒れた。

副官が近寄ると将軍の額には矢が刺さっており息絶えていた。


しかし、将軍は自分が死んだことに気付きもしないのか顔は笑みを浮かべたままだった。

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