第74話オークラとオーク傭兵団

正式に公国に雇われた俺達は、武器を研ぎ

来るべき決戦に備える。


帝国軍が来るのは東から、街道は一直線だか

北には見通しの悪い森が広がり、南は真っ白な雪原。


帝国が動く様子は今のところ無いので

オークの旦那と俺達は森に狩りへでた。

食べる物がままならないので自分たちで用意する。今回雇われる時に大臣から支給する食料など無いぞと前もって言われていた。


オークの旦那はいつも通り大きな熊を担ぎ上げて帰って来た。俺は雪兎が3匹、他の奴等も似たり寄ったり。


熊鍋の用意をしているとひょっこり公王様が

椅子に座っている。最初に熊鍋をした時に

美味しくて毎回夕食を食べに来るのが習慣になっている。

毒がどうのと大臣が騒ぐが、口にオークの旦那特製の熊鍋を突っ込んでやったら静かになった。


「まったく公王様は仕方ないですな。

どれ、まずは私めが毒味役を…。」


そう言って大臣もやって来るのが一連の流れ

オークの旦那が好きにさせているので、俺達からは特に文句も出ないが呆れて笑っている


あれから数日して帝国に動きがあった。

まだしんしんと雪が降る。

国境付近の砦から、約2千の大軍で公都を目指している。


とうとうきたか!公国軍は正規兵が5百

槍と大盾を持った歩兵。のみ!

あ、あと俺達オーク傭兵団が48人

総勢548人で2千の大軍と一戦構えるのだ。


公国軍は公都を離れ、野戦にて迎え撃つつもりである。無謀に思えるが、籠城戦とは援軍あっての戦法であり、正直公都は戦争向きの防衛能力は無いに等しい。民達の被害を考えての事でもあろう。

オーク傭兵団としては籠られるよりもこっちの方が都合もよい。


帝国軍の動きが伝わってすぐに学者の作戦で俺達は森へと潜伏している。

オークの旦那が戦いやすいスタイルこそが

俺達オーク傭兵団の持ち味だからだ。


帝国軍が公国軍とかち合った。

にらみ合いになるが数的有利で、帝国軍の士気は高い。公国軍も負けてはいない守るものがあるのだ。


戦場は学者の予想通りの場所になった。

俺達が潜伏している真ん前にて帝国軍が動いた。1500の戦力で500の公国軍を包囲しようと動く。公国軍は逃げようとはせず、退路を気にせず中心に公王を添え方円陣の構えをとった。公国軍は大盾を隣合う者達と重ねながら360°の壁を作る。焦れてバラバラに突撃してくる帝国軍に盾と盾の隙間から長い槍の一撃を喰らわせた。


森にいた俺達も戦闘になった。200の帝国兵が森を迂回し本陣を突くか公都に雪崩れ込む作戦だろう。学者の想定内だ。


雪の積もる真っ白な銀世界から、白い熊の毛皮を被ったオーク傭兵団が200人の帝国兵に襲いかかった。

先頭集団が過ぎて、中盤の腹に食らいつく

のはオークの旦那。白熊かオークか何に襲われたか分からぬままにまずは10人の帝国兵が潰された。先頭集団と後続が中盤の混乱に気付き駆けつける、最後尾にいる帝国兵を隠れていた俺達が弓矢を狙い放つ。異変に気付き振り向いた帝国兵に切りつけた。


ほぼオークの旦那が帝国兵を倒した。

帝国兵は全滅、こちらの被害は死者は居なかった。戦闘に支障が無いほどの怪我はほぼ居なかったが、ラリーが足を負傷した。

ラリーともう1人をその場に残し、俺達は

帝国軍の本陣へと森を疾走する。


森の切れ目に差し掛かった。帝国本陣が見えるが、そこまでは見通しが良く、かくれる物もない。近づく前に気づかれる。


オークの旦那がハンドサインで指示を出した


オークの旦那が更に回り込む、姿勢を低くし

白熊の毛皮を被りカモフラージュしているため見付かりにくくしているが…。

地面スレスレを森の中を走るよりも速く

走り抜けている。


帝国本陣が揺れた。オークの旦那の奇襲が決まったのだろう。


「いくぞ!!」


俺達もオークの旦那が暴れる帝国軍へと突撃した。

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