第75話帝国軍将軍
「全軍公国へ進軍開始!」
我が声に2000の帝国軍人が動き出した。
「今回は楽な相手ですね閣下」
「気を引き締めろ!相手の兵数がこちらの4分の1とは言え何が起こるか分からないのが実戦だ」
「申し訳ありません!了承いたしました!」
とは言え負けるはずの無い戦い。
相手は防御陣形が得意だが言ってしまえばそれだけだ。わが帝国はここ数年実戦を何度も経験している、相手はここ数十年小競り合いや盗賊等多数による少数の討伐はあれど
対大多数の経験などありはしない、一当てすれば降伏の使者がくるだろう事は明白である
傭兵にしてもろくなものは居ないだろう。
唯一の街道は抑えて出入りは出来ない。
有名な傭兵団にしても所在の情報は掴んでいるのだ。
しかし…いくつか見失った傭兵団もあるのは事実、蜻蛉と氷雪、あの2つは距離や関係
性を調べても公国に味方するとは思えない
最後は最近公国に入ろうとした、オーク傭兵団。新進気鋭ではあるが戦争への参加依頼を受けたことはないようだ。
軍部でもその3つが話題にのぼったが、覆す程の戦力は無いと判断した。オーク傭兵団にていては、オークを冠にしているがどういった傭兵団なのかはあまり分かってはいないし情報が少なすぎる。
「頭の悪さを美化して名付けたか、それとも下世話な…」
なんて言っていた奴もいたが…。
何か嫌な予感がした。
いや、気のせいだ公国に神か悪魔が味方するような事が無ければこの勝負の行方は決まっているのだから。
馬に揺られ戦場へと到達した。
公国軍は公都を離れ布陣している。
「我々と戦うようですね。」
副官に命令し使者を送っても返事はなかった。
「お前は北の森を抜け公国軍の後方を突け」
そう副官に告げると、目に見えて嫌そうな顔をしている。今回は勝ち戦だ、迂回路へ行けば功にあり付けないと思っているのだろう
「森を抜け公都を突いてもよろしいでしょうか?」
嫌な予感がまだしている、首の辺りがチリつくのだ。森の警戒をしてくれるならそれでも良いかと頷く。
「了承いたしました!」
公国軍とにらみ合う中、副官は200の兵士を指揮し北の森へと進んでいった。
「進め!!」
1500の兵士を前進させる。相手は500、人数的有利があるため我が軍の士気は高い。
帝国軍が公国軍を囲む、流石は公国の防御陣形っと言ったところか。素早く方円陣を完成させたのは見事だがいつまで耐えられるかな
後方にて高見の見物とさしていただこう。
迂回させた副官の遊軍から連絡はない。
前線にも現れる前触れもなし…。
まさか伝令を出せない状況に?いやそんな筈はない、公国軍500は戦場に居るのだ、伏兵が森にいたとしても多くても数十人、帝国兵200人がそんな簡単にやられるものか。劣勢でも伝令は出せる。
前線が優勢と見て本当に公都に攻めいったか?やり過ぎねばいいが、後の統治がやりにくくなる。
包囲は完成した。後は何処まで相手が粘れるかのみ。公国軍の陣形が少しずつ乱れてくる
もうそろそろだろう。諦めが付くと言うもの
「降伏勧告を出せ!」
あの嫌な予感は思い違いであったか?
まあ良い。億が1にも負けは許されない
降伏の使者を送り出した直後!
「敵襲!!」
見張りに立っていた兵士の声
「南東より敵1!うわぁー…」
その声は途中で途切れた。
「突破されました!!」「将軍を守れ!!」
我が軍劣勢の声が響き渡る。
なんだ?どうなっている?
すぐに侵入者の影が見えた!
その背丈は3メートル近い
「白い、あくまだ!!」
1人の兵士が叫ぶ。
白い熊?いや毛皮を被っている、見えた肌は緑!?人間じゃないのか?
まさか!!オーク!!!
オーク傭兵団の文字が頭に浮かぶ、まさかと思うが本当にオークが率いているのか!
他にも敵がいる筈だ。
見えているのは一匹のオークだけだが味方の帝国兵士は次々となぎ倒された。
皆の目がオークへと釘付けとなっている?
後方に注意しろと叫ぼうとした瞬間、オークと目があった。そのオークは掴んでいた1人の兵士を軽々とこちらに投げた。
なんとか避けたが、オークはこちらに走りより手に持つ大きな棍棒を降り下ろした。
目の前が真っ黒となり閉じた瞼は2度と開くことなかった。
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