第72話オークラとオーク傭兵団
俺達、オークの旦那とオーク傭兵団は
色々な依頼をこなし、路銀を稼ぎながら北へと進んでいる。タイラーン王国をでて数国の小国を越え雪が積もるマルベスト公国に入ろうとしたら国境で止められた。
どうやらサジラーン帝国がマルベスト公国に経済封鎖をし、行き交う商人や人を足留めしているのだ。
最近のサジラーン帝国は周辺諸国を攻めて
占領し大兵力で降伏させ領土を広げているのだ。俺達傭兵団にとっても戦争は飯の種である。戦争で兵士をとられた所は治安が悪くなるため荒事の仕事だったり、盗賊が多い輸送ルートの護衛であったり。
戦争の傭兵の依頼をもあるが、北へ行くのが優先で時間をとられるのでそっちの仕事は受けていなかった。
しかし、困った。マルベストを越えないと
他にルートがない。
「オークの旦那どうします?」
地図を広げながらオークの旦那に相談する。
するとオークの旦那は山が連なる一点を指差した。
「そこは…」
学者も困っている。雪の無い季節ならもしかしたらその山越えは成功するだろうが。
このルートは地元の猟師に聞いた山越えルートだが吹き荒れる雪の季節の山越えは止められた。
あのルートを行く事にした。毛布や厚着を買い込み食糧も持てるだけ買った。
雪山に食べる物はなく道に迷えば命の危険もあるが俺達はオークの旦那が歩く後ろに続いた。
吹雪でもはぐれないようロープを腰に巻き
その先はオークラの旦那の腰に巻いたロープへと括りつける。寝る時は肩寄せあって暖をとった。
雪山に入って3日1人また1人と倒れていく
やはり無謀だったのだ。
倒れた仲間はオークの旦那が担ぎ上げ山を登る。
5日目、歩いているのは俺とオークの旦那だけ。担ぎ上げられない者はオークの旦那がソリに積み込み引きずっている。
もう駄目だ、すみませんオークの旦那…
もうここまでです…。雪のクッションへと倒れ込み意識を手放した。
はっ!パチパチと焚き火が燃える音に目を覚ました。ここは?洞窟の中で眠っていたようだ。他の仲間達も横で毛布を被り眠っていた。大丈夫、皆生きていた。
のそのそとオークの旦那が洞窟の入り口から
姿を表した。大きな熊を担ぎ帰って来た。
冬眠していた熊を見付けて来たのだろう。
久しぶりの熊鍋である。
何人か起き出し、オークの旦那の手伝いをする。学者も起き出し、地図を片手に唸っている。
「おい、学者。今どの辺りか分かったか?」
「ああ、たぶん山頂を越えてこの辺りだろう」
どうやらもう3分の2行程は進んでいるようだ。オークの旦那が運んでくれたのだろう。
山を下ること半日、村が見えた!
全員無事に山脈を越え、俺達はマルベスト公国へと密入国したのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます