第15話ダンジョンマスター

商人のアルバイが旅立ち暫くの月日がたった

洞穴は今日も平和にゴブ達が良く働いている。お陰でポテチを食べ、アイスをかじりだらだらしていられる。しょっぱいのと甘いのを交互に食べるのがまた良い。

無限ループ恐るべし!

しかし、アルバイの奴は余計な事をゴブ達に吹き込んでいった。


「ますたー、しょうにんにあまいのがあるときいたゴブ。」


どうやらアイスについて感動のあまりゴブ達の前で話を洩らしてしまったようだ。

余計な事を!!朝昼晩と出会うたびに甘いのはまだかとゴブゴブ五月蝿い。

なんとかごまかしているが、どうやらゴブミ(ゴブ唯一の♀)が食べたがっているため

ゴブ♂達も良いところを見せたいとせっついてくる。どの世界、種族でも女子とスイーツは切っても切れない物らしいし、男ゴブ共もゴブ目線で可愛い女ゴブの我儘に振り回されるらしい。

素人目にはほとんど見分けがつかんのだが…



早めにアルバイを追い出して正解だった。

なんとなくそれっぽい、中身の有るようで無い言葉で追い出したが、最後はなんか泣いていた。弱冠引いた。途中自分で何言ってんだと思う場面も多々あったのだが。


今、まだこの場に居たならば、カレーライスやハンバーグ等の主要メンバーの情報も

ゴブ達に筒抜けであっただろうからな。

ゴブ達は安い昆虫食で腹を満たしていれば良いのだ。ゴブリン、コスパ最高!!


しかしどうしたものか、アイスをそのまま

与えても芸がない。うむ、昆虫繋がりで

養蜂でもしてみるか、確かゴブ達が狩った獲物の中にキラービーなる殺人蜂の召喚リストが増えていたっけな。



よしよし、副産物で蜂蜜も採れるらしい。

支配下モンスターでもめっちゃ抵抗してくるらしいが、採るのはゴブ達だから問題なし。


「ますたー、たいへんゴブ!!」


召喚を始めようと思った矢先にゴブ太からの

緊急通信があった。

なんだ、ゴブゴブ五月蝿く言うから養蜂始めようと思ってるのに水を差しやがって。


「たいへんゴブ、いっぱいおーくきたゴブ」


あら、外のお友達連れてきたの?


「ちがうゴブ、おそってきたゴブ」


あら…デジャブ!!


直ぐに籠城の用意だ!!洞穴の直線に誘い込め!!奥の部屋まで押されたら詰むぞ!!

急げ!!

マップを表示、戦力分布を確認する。

青●の味方約30に対し赤●敵オーク約100!

これは流石に詰んだな…(泣)


どうするか!考える内に先陣のオークが入り口まで入ってきた。オークはゴブリンより体も大きく戦力指数でいえばゴブリン20匹でオーク1匹。DPも結構貯めているとは言え、狭い通路に大群召喚する訳にもいかない。外に召喚しようにも、ダンマス部屋を2階層に作ってしまったため裏技も使えない。


総力戦か…、通路の狭さと発動済みの落とし穴を利用し防衛線を張り、オーク1匹とゴブ5匹を相対させる、と言っても直ぐにゴブリン達が蹴散らされる訳だが。


2階層のダンマス部屋に次時ゴブリンを召喚

今回は期生無しにして盾役としての召喚だ。

古参ゴブ達は弱ってきたオークの止め役だけに徹しさせる。

DPが尽きるのが先かオークが諦めるのが先か…。1日目は10匹のオーク倒したが、こちらはゴブリン100匹以上の被害が出ている。

途中で数えるのは諦めた。洞穴から撤退したオーク達はゴブリンの死体を持ち帰り美味しく頂いているだろう。こちらは士気も落ち

ボロボロだ。


ゴブ太達1期生とゴブ2期生からも、死者は

出ていないが、戦闘不能なゴブもいる。

明日はもつかどうか…


翌日も朝からオーク共が攻めてきた。

あちらさんも考えているのか、少数が侵入

他のオーク達は外で疲れを癒していたり

積み上がったゴブリンの死体を連携して持ち去っている。延々とゴブリンが湧く食糧庫

と化している感が否めない。

2日目はオークを7匹、ゴブリンは昨日と同等数の100匹を超える被害、DPも怪しくなってきた。

外にいる4期生のゴブスネ達、偵察班の情報でもオークはまだ約80匹を確認している。

後続は無さそうだが、2回りデカいオークキングらしきボスがいると言う情報ももたらされた。

夜になり、昨日のように一息着くものと勝手に思っていたが、なんと昼間に休んでいたオーク達が攻め込んで来たのだ。

これはまずいぞ、休み無く防衛に徹していたゴブ達もこれには根をあげた。

士気は駄々下がり、疲労も困憊…。


勝てばハチミツだ!!甘ーい甘ーい食べ物だぞ!!


「あまいゴブ!はちみつゴブ!」


最初に叫んだのはゴブミだ。ゴブミは衛生班でポーション片手に負傷したゴブ達の治療をしていた。

目には火が宿り周辺のゴブ達を叱咤し出した

戦場に咲く一輪の花ゴブミ、その叱咤に周辺の野郎ゴブ達が狂化した。結果ゴブ達がの士気がみるみる上がる。

押し勝つ程では無いが気力が回復したゴブ達の猛攻でオークの被害も増えてきた、その分こちらの被害も大きいのだが。

しかし時間が立つにつれジリジリと目に見えて押し負ける。狂化の副作用でどっと疲労が増え、そのまま動かなくなるゴブも出てきた


なんとか3日目の朝までもった。もっただけだが…。朝日と共に、元気なオークがまた襲ってくるのだ。1、2期生ゴブも動けるのはゴブ太とゴブミ位だろう。次々新人ゴブを

召喚しゴブの肉壁を作るが数分も持たない状況だ。

こうなってしまっては商人アルバイを追い出しておいた事は正しかったな。

折角、山賊達から助けたのに、迫るオークと次々と死ぬゴブリン達を目にし正気ではいられなかっただろう。

かく言う自分もこれで最後か…

どうせDPも残しておいてもしょうがない、

無くなるまで足掻いて見せようか。

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