第14話地方領主

とある報告が私の元に届けられた。

何も無いはずの西側から行商人が来たらしい

正確には村や森山位しかない。

私は緊急性は無い案件だと後回しにしていた

数日後に王都に向かって旅立ったと聞いた

しかし、行商人の荷物が問題であった。


通行税の持ち合わせがなく、現物で払っていったのだが。樽半分の見事な岩塩であった。

塩の需要は大きいが近辺では精製する海水もなく、岩塩が採れる鉱山も無く。輸入品に頼っているばかりで周辺の私と同じ立場な者達の経営を圧迫している要因でもある。

しかし、行商人が持ち帰って来た。

もしやと前領主である父から聞かされた笑い話を思い出した。先代の国王様が噂に翻弄され軍を動かし莫大な富を得る代わりに

周辺の領主に対して莫大な借金と甚大な軍の損傷だけで何も得る物もなくほうぼうの体で帰って来たと言う話だった。


子供の頃に聞かされた話で西の荒れた土地からは何も得る物は無いのだと大した改善計画を立ててこなかったが、見直す必要性が出てきた。

岩塩鉱山を得る事が出きれば、国王様からの覚えもよく、念願の陞爵も夢ではない。

直ぐに兵士を集め、西の辺境へと遠征するよう言ったが、準備や資金の捻出に1カ月の猶予が必要だと止められた。

まずは冒険者を雇い先行して情報の収集などを任せてみてはとの進言もあったが直ぐに却下した。どこから隣領に話が漏れるかも分からないし、事が事であるため万が一冒険者に

先に発見されるような事があっては余分に金が掛かるだろう。口止めしても直ぐに噂になろうし、処分するにしても足がつくのも面倒だ。ならば最初から利用しなければよい。

我が領地の兵士だけど事足りるだろう。


忘れてならないのは件の商人だ、直ぐに兵に追いかけさせ捕まえねばならない。


結局商人は取り逃がす事となったが、

商人から岩塩鉱山を発見したと報告があったわけではない、先にこちらが見つけてしまえば、国王がでしゃばってかきたとしても問題ない。私が先に発見し、商人が盗み出したと言ってしまえば事足りるのだ 。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る