第13話商人アルバイ
私はしがない商人のアルバイ。
馬に揺られダンジョンに戻った。
ダンジョンマスターには悪いが文句を言わねば収まらない。怖かったのだ。
いきなり樽に詰められる恐怖ったらない。
ゴブリンも野良ゴブリンの可能性もあった。
ぶるぶると震える。岩塩についても先に言って貰わないとボロが出そうだった。危なかった。しかし、どこから調達してきたのか
あんなに綺麗な岩塩は見たことが無い、もしや近くに岩塩鉱山が!!莫大な金が動くことになるだろうが恩がある、ダンジョンについての情報は墓場まで持っていこう心に誓う。
岩塩についてはどうやら鉱山は無いらしい、残念だ。
亡くなったゴブリンについても、必要だったと言われた、悲しむならと何やら木の棒に刺さった水色の物を貰った。食べ物?こんな色の物食べても大丈夫なのだろうか。
お腹を壊す?やっぱり!!
あー食べ過ぎたら…冷えて腹を壊すのか。
ふむ冷たい…甘い!!初めて食べる味だがすごく旨い!!さいだーの味らしい。初めて聞く物だ。
シュワシュワする飲み物とか、冷やして飲むと最高らしいとか、聞いてるだけで喉がなる
忘れていた、食べ終わったあいすの木の棒を
ダンジョンの外にある、手に持つ棒と一緒の物が何本も刺さっている地面の隣に私も突き刺した。これがゴブリン達のお墓であるらしい。さいだーのあいすと一緒に安らかな眠りについて欲しいものだ。
数日後、私はダンジョンから追い出されるように旅立つ日がやって来た。
私は何度もダンジョンに置いてくれと頼み込んだのだが、断られた。
ダンジョンマスターは、
この世界で、人とモンスターが一緒に協力して暮らすには、まだまだ時代が早い。
人が正しく、ダンジョンやモンスターが悪いと決め付けているこの世の中では、今後危険な事が起こるであろう事は明白であり、ダンジョンについてもいつ国や冒険者が動き出すか分からない状態で巻き込む訳にはいけない。
今の状況で、もしそんな事になれば人類の
裏切り者と映ってしまうかもしれない、
それは知人、親類にも迷惑を掛けることになるだろう。
しかし、時がくれば両者の手を取り合う時代が来るかもしれない、その時まだ同じ気持ちであるならば、ここへ訪ねてきてくれ、
いつでも歓迎しよう。
私は涙を流しその言葉を聞いた。
ほぼ無一文である私にダンジョンマスターは
山賊達から奪った馬と荷馬車、そして6樽の
岩塩を支援してくれた。さいだーのあいすも
なんとか出来ないか聞くが、すぐに溶けるだけだと言われたので泣く泣く諦めた。
氷の保存魔道具を何としてでも手に入れなければならないだろう。
王都に行こう。王都にならあるはずだ。
ダンジョンの入り口からゴブリン達が手を振り私を見送ってくれた。
ダンジョンマスターは最後まで姿は見せる事は無かったが、声からすると私よりも若い
であろうが尊敬すべき方であった。
私はこの出会いに感謝する。
いつかここにまた戻ってこようと思う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます