第9話悪徳商人
怨めしい。
前日罠にはめた商人が帰って来た
繋がりのある山賊達に金を払い始末してくれる算段を付けたのに失敗、挙げ句には
あの商人は樽一杯の岩塩を持ち帰った
しかも6樽も!!あれだけあれば一財産は築けるだろう。
夜更けになるとすぐに山賊のアジトへ向かう
あいつらは美味しい話があると言えばすぐ飛び付いてくるだろうし、謝礼を払ったとしても大金が入ってくる。その金を元手に王都に店を持つのも良いだろう。
知らぬ間に口角があがる。
山賊達を叩き起こした、機嫌が悪い。
どうやら商人を追い掛けた仲間の6人が
帰っては来ないため、騙されて領兵につきだされたと思ったらしい。大した金にはならないのだそんな事するはずがない。
そんな事よりもあの商人が帰って来た話をする。金を払ったのに失敗した事を責める。
あまり言い過ぎてもいけない、下手を打てば
剣の一突きで話を終わらせる馬鹿な奴らだ
相手の少し弱みをつきこちらの条件を飲ませるのが一流の商人たる由縁だろう。
樽の中になかなか価値のあるものがあり
それを奪って欲しいと頼む。
樽の中身も何かと聞いてきたが
一目見てもただの鉱石に見えるため
そこそこ価値のある鉱石類だと誤魔化しておく、今度はきっちりと商人も仕留めてもらいたい。
明日には出発すると言う話だったので
直ぐに用意させる。今回は前回の5倍の金を支払う。こんなはした金で100倍、いやそれ以上の金が返ってくるのだ、ぼろい商売である。
徹夜で街道に網をはる、眠たいと山賊達の
不満が上がるが、これが終われば飯を腹一杯浴びるように酒を、女も高級娼婦を買い放題
だと、士気を上げる。
きた!!あの馬達だ!!
盗賊達が弓を放ち、馬の足を落とす
ローブを被った商人は呆気なく頭に矢が刺さり、馬から落ちた。あれでは生きてはいまい
直ぐに戦闘は終わり、樽が下ろされる。
すぐに売りさばいて王都に店を出すんだ。
顔がにやけてしまう。
樽の中身を確認すると、樽いっぱいに
岩塩がひし詰められていた。
後ろから覗いていたしたっぱの山賊は
本当にそんなものが金になるのかと不思議がっていた。馬鹿なやつだ。
一見、白い岩か石に見えるが舐めると塩辛く
海で作る塩よりも純度が高いし
何よりこの真っ白な色が良い、今まで見てきた塩の固まりが泥水で作ったようにさえ思える。山賊達は興味を失ったのか撤収の用意をしていた。
樽を積むために用意した荷馬車に、積み込む
作業を山賊達に手伝わせる。
違う樽を運ぼうとした時に異変が起きた!
急に樽の蓋が空きそこから緑の手がにゅるっと出てきた。その手には磨かれたナイフを握っている。そのナイフは両手の塞がった山賊達の喉へと吸い込まれていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます