第8話商人アルバイ
私はアルバイしがない商人である。
洞穴に逃げ込んだ私は意識を失ってしまった
どうなったのだ、山賊達を道連れに出来たのであろうか…。
強烈な痛みで意識取り戻した私は、
目の前にいるおぞましい姿のモンスターに息を飲んだ。目を背けるが一匹ではなく思っているよりも大勢いるらしい。しかし危害を加える様子はないが、
この後美味しく頂かれるのだろうか…。
冷静になった私は、鉄のつーんとした臭いに気がつく。地面には横たわる死体。
凄い形相で頭をカチ割られている山賊の死体
私はホッとした、これで自分の死を待つばかりだからだ。
突然どこからか声がした、モンスターのゴブリン達はぎゃーぎゃーと叫ぶばかりで全く分からなかったが、ユーロ大陸の共通語である大陸語である。私は声の聞こえた辺りをキョロキョロと見るが岩か壁しかない。
しかしゴブリン達の巣にしては明るい洞穴だなと改めて気づく。
いつの間にか一匹のゴブリンを残し他のゴブリンはいなくなっていた。
そしてまた、声が聞こえた。
何でもここはダンジョンであるらしい。
私は驚いたダンジョンは知っていたが
入った事はなかった。
冒険者の道もあったが、あまり争い事は得意ではない。競い会うのもあまり…だからこそこんな辺境で商売を始めた訳だがこんな事になろうとは…
この声はダンジョンマスターであるらしい
ダンジョンにマスターなんているとは初耳であるが、どうやら最近なったとか。
外の情報が知りたいらしいので、私の知っている事を全て話した。ここの大体の場所。
近くには大きな湖がある事。
海じゃないのかと聞かれたが、ここは淡水であり海水ではない。海であったならばもっと塩の値段が安くすみ村人達も薄いスープや生臭い肉では無く、毎日塩の効いた物を美味しく食べれるだろうに。
後は近くに山がある、ただの岩山だ。
昔、鉱山があったと噂になり当時のターラント王が欲をかき遠征したが噂は全くのデマで
噂の張本人は処刑されたとか、
その時この地方の領主に借金をしたとかで
忠誠心が離れたという笑い話である。
暗くなる頃まで色々な話をした。
ダンジョン内であるためか全然判らなかった
今晩はダンジョンに泊めて貰えるらしい
命の保証もしてもらった。金貨1枚だがなけなしのお金である。
色々ありすぎて朝までぐっすりと寝れた。
朝にヒヤッっとする出来事があった。
目覚ましがわりにゴブリンの一匹が起こしにきたのだ。昨日で慣れたと思ったが頭がリセットされたうえに、目覚め突然であの顔ばかりは心臓に悪い。ヒャーッと叫んでしまい、ゴブリンが何度も頭を下げて謝るようにギャギャっと小さく鳴いた。悪いことをした。
どこからともなく笑い声が聞こえてきたが
楽しんでいるらしい…。
突然ダンジョンマスターから提案があった。
昨日話していた事の対策でもある。
山賊と繋がりのあるであろう商人の事である。今はほぼ確信がある。執拗に命を狙ってきたのもあるが、完璧な待ち伏せもその1つである。もっと商人の多く通る道であれば
待ち伏せする効率もあるが、こんな辺鄙な場所では何日も隠れていなければならないし、
同じ場所に留まっていれば後ろから魔物に襲われる可能性も上がる。魔物の中には鼻の良いのも多い、この辺ではオークが最もたるところであろう。
確かに山賊と繋がりのある商人をのさばらしてしまえば、また同じ事が私の身に起こるであろう事は間違いない。今回はダンジョンマスターの気紛れで助けて貰えたのは幸運であったし、次にも幸運で助かるとは思えない。
して、私は何をすれば良いのか。
え?外には、既に山賊達が乗っていた馬と
その背には樽が6樽、私は何も分からずダンジョンを送り出された。途中までゴブリン達に連れられ村の近くまで安全に到着した。
端から見ればゴブリンに連行される商人の図
ゴブリンの一匹に紙を渡される。
ダンジョンマスターから預かったらしい
話は通じないが身振り手振りのボディランゲージに伝えられた。
今まで怖い魔物であると認識していたが
なかなかに愛嬌があるとさえ思ってしまった
顔は相変わらず禍々しいが。
指令1。まずは村の宿に泊まれ。
この小さな村には宿はない…
いきなりつまずいたが臨機応変に、
宿の代わりに民泊できる馴染みの家へ
一言目には無事だったのかと言われる
どうやら商人が山賊に襲われたという噂が
早くも流れているらしい。
この最南西端の村に行商に来るのは私と
もう1人位、件の疑いの商人だけである。
その商人はどうやら酒場に無事でいるらしく
ならば山賊に襲われたのは私の方かと落胆し心配してくれたらしい。有難い。
商品があっちより安い事もあるのだろうが。
指令2 疑わしい商人と合い、樽の事を話せ
荷物を預け、酒場にむかう。
件の商人がいなかったらどうするつもりなのかと思ったが、ちゃんといた。
後日、犯人は現場に戻る。とダンジョンマスターが言っていたが、犯罪を犯したら国境を越え別の領地に行けば指名手配さえされていなければ捕まる事はないと話したら唖然としていた。今回は上手くいったから良いが…。
酒場で景気良さそうにして飲んでいる
商人に声をかけた。
目をむいて驚いていたが、あんたのおかげで助かったと嫌味を言っておいた。
あの日すれ違う時に、安全だったと騙されたからな。
そしていよいよ樽の話をする。
山賊に追いかけられたが、そのお陰で
飛んでもないもの見つけたと言う。
お大袈裟に言えとも指令に書かれていた。
なんだと話に乗ってきたので民泊している
所へ連れていき、番号がふられている
1番の樽の蓋をあける。
中には…私の方が驚いた。危うくばれてしまうかとも思ったが、相手も驚きこっちには目も暮れない。事前に話してほしかった…。
他の樽もそうかと?質問されたので同じ物だと返事をする。指令の紙には他の樽は開けるな危険と書かれているので、触らない。
相手の商人は何度も振り向きながら名残惜しそうに帰っていった。羨ましげに見る顔がとても面白かった。
私は一泊し次の日には村を出発する。
村が見えなくなる頃にそれは起きた。
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