普通じゃないからチートなのに、あたりまえに拘るならバカ以下なんですけどっ!?
普通じゃないから
「…………」
言葉に詰まったアテルイに、俺は問いを重ねる。
「今まで、この
「……わからないけど、最初はこの土地を捨てて出て行けって言ってたから、この地が欲しいんだろう?」
「ああ、正しくはこの地の硫黄が
「何で、そんな事を知ってる? 日巫女さまに聞いたのか?」
「いや、
そう言って
「この<
「……なっ!?」
息を呑み目を見開き、今まで僅かに
タネがないとはいえ、俺からすれば、ちゃちな手妻にすぎないが、<波気>を知らない者から見れば奇跡の
「これは、<
「…………」
俺が知る未来の歴史の
それは、一
だから、
「お互いに諦めないで、争い合うならば俺達は決して勝てない。 何故なら俺達
だからこそ、ひたすらに勝ちを望み負けを怖れて、鬼と呼ばれながら争う術を磨き続け、神と呼ばれる権威を使い大きな暴力を維持するための組織を造り、畜生といわれても、人から奪い、人を傷つけ、人を殺し続ける者達には
‘ 奪い、傷つけ、殺し、
「……………………」
<波気>を使う
「でも、だからといって和の
奪い、傷つけ、殺し、
「……………………………」
ゆっくりとアテルイのオーラが
「だから、俺達は抗い続けて来たんだ。でも、誤魔化しに騙されて争い合うための普通を信じようとする者達の中にも、そんな誤魔化しの
奪いあい、傷つけあい、殺しあう仕組みで動かされる‘ 国 ’という組織に生まれ従属したからといって、それが正しい在り方だという誤魔化しに気づく人間は必ず生まれる。
何故ならば、人という生物は、暴力原理とは正反対の共存原理を生存戦略として選んだからこそ生きていられる弱い生物だからだ。
共存原理を否定しては社会を造れず、だからこそ社会に寄生して害を与える一握りの人間だけのために造られた‘ 国という仕組み ’が誤魔化しに満ちていると、善悪を知る者になら誰にでも判る。
だからこそ、争い合う権力者達は、善悪を曖昧なものにしようとする理屈で、善悪を知ろうとする者を惑わし、互いに誤魔化しの正義を騙り合って善悪などないのだと思わせようとする。
それは俺が知る現代にまで続いた‘ 戦国の仕組み ’だった。
「………………………」
<波気>になる前の幽かなアテルイのオーラは、
「それが普通だと、俺達まで信じてしまいそうになっていた。でも、<
人を騙すための妄信が拘り固まったのが朝廷権威なら、人を傷つけ殺す力頼りの狂信が凝り固まったのが武家権威。
野生の原理を捨て毛無の猿である事を止め、人の摂理で生き始めた人間未満の者達を、
神や権威という
それは、人であろうと目指す道から外れる事ではないのか?
「………………」
黙ったまま表情も変わらないが、情念に従うオーラは正直だ。
アテルイが
だから、
「だから、
それは、信頼する相手に援けを求めるための仕草だ。
「
そう言ったアテルイは、裏表のない笑顔で、右手を俺の掌の上に乗せた。
「うん、判った。
諸共に生きる?
その言い回しに、引っかかる事があって、俺は瞬時に
それは、女系で多妻多夫の乱婚を認める
そこで、初めて俺は、‘ 右手で男から女へする仕草 ’の場合、ただの信頼だけではなく
無邪気に笑うアテルイが美少女だと
これだから、常識というやつは
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