拠る辺、得る術
やっぱり、俺は俺だし俺も俺でしかないんですけどっ!?
考え込んでいるうちに、いつしか辺りは暗くなっていた。
病人を安静に隔離させるための幕家に灯りはなく、既に濃密な闇が満ち、清寂の中で一日を終えようとしている。
俺の中の、
それに伴い、
既に名を失い、自我の拠り所も無い俺の情念など、どんなに強く激しくても一時の幻のようなもので、
それでも、
前世までの俺達は、本当の意味の善を理想と敬遠して、争い合う事で権力を得た人間達が、自分達の利権を守るための建前を正義とし掟とする世界で生きてきた。
そして、戦い、負けた負け組だ。
けれど、
<
信仰を利用する事で共存のための法を否定し、権威という形のない暴力の掟で人間を縛る
ひたすらに、<
自分とは違う
だから、違う常識で生きた63年分の記憶と意志と情念は、七つの子には重すぎる負担となる。
(……結局、<制厳>を増やすしかないって事だな)
そうしなければ、
それだけは、避けねばならない。
俺は、
前々世の俺の34年の記憶も意志も情念も、前世の俺の29年の記憶も意志も情念も、ただそのためにある<
<輪廻転生>とは、そういった<志念>。
生きる事を諦めずに足掻き抗おうとするもう一人の俺を探し
呪いという無念から生まれた
死者の
<輪廻転生>とは、そうでなければならない
愚かな生き方しかできない哀れな人間達が、その事に気づかず、その実感を持たずに生きた果てに生み出す悲惨で陰惨で凄惨な
前々世の俺と同じような理不尽な死が振りまかれないように。
前世の俺と同じように理不尽に抗う人間が、名もなきままに葬られないように。
争いの理屈を信仰する人間達の
それができないのなら、争いを
力で奪い殺し争い合うための理屈を振りかざす者こそが高貴だと騙る下衆達に脅かされる俺と同じ者達の叫びに応える事ができないのなら、<輪廻転生>に意味はなく。
つまり、
そのためには【設定者の悳献】の<制厳>を考えて、即座に
俺は英霊ではなく、弱いからしかたないのだと理不尽を押しつけられた負け組の志念から生まれた
それでも時間をかければ、
だから、その時までは俺の意志を
(<制厳>……か)
<制厳>を増やすためには、もう一度【設定者の悳献】という<志念>の本質を考え直さねばならないのかもしれないな。
とりあえず、一つの<制厳>は考えついた。
【設定者の悳献】という<志念>の本質は契約で、商売に例えるなら俺の利益という部分を削る事を<制厳>としたのだ。
本質が契約なのだから契約を縮小して、対価を下げる<制厳>をしたんだが他に<制厳>となると……まてよ、ひょっとして……。
ああ、そうか!
受け取る利益を縮小するだけでなく、取り扱う規模を縮小するのも契約の縮小だ。
という事は…………。
(そうか、【設定者の悳献】で相手に与えられる
事業に例えるなら、他業種を経営していた内の幾つかの部門を廃止するわけだから、これも<制厳>になる。
(という事は
具体的にどれにするかというなら、やはり…………。
<現波八極>のうち、使う事で<波気使い>を覚醒させるリスクが高いのは、武闘系だ。
<波気>を破壊力に変えるので、直接戦闘力は上がりやすいが、数に圧殺される可能性も高い。
具体的に武闘系の
<装波>を攻撃に使うレベルに高めた
(それら武闘系の
その確信と一緒に、俺は<波気>を情念で高め、理念でプログラム化して<現波>という奇跡に収束させて発現させ始める。
(さあ、
その意志を
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