ベルセルク編 第11話機械人形

 シドとセフィラスが

 幻獣捕縛棟に向かっている頃


 闘技大会決勝戦が今まさに

 開かれようとしていた


 アリス「あんたとやるのも久しぶりね」


 ホムラ「23戦11勝11敗1引き分け

 いい加減貴方と比べられる日々に

 飽きてきました

 決着をつけましょう」


 アリス「あら、気が合うじゃない

 私もそのつもりよ」


 審判「皆さま、お待たせしました!

 これより第50回記念闘技大会

 決勝戦を始めます!

雷撃術師アリスV S十六夜流師範代行ホムラ

 試合開始!」


 歓声と共に決勝戦が開始される


アリス「まずは軽く挨拶がてら行くわよ!」


 アリスはモーク戦で見せた、自身の脚に

雷を帯電させた歩法で間合いを一気に詰める


 ホムラ「雷速瞬歩イグニションブーストですか」


 アリスは掌底をホムラのみぞおちに

 決めるが目の錯覚か当たったはずの

 アリスの拳はスルリ避けられてしまう


 アリス「やるわね」


 ホムラ「貴方は確かに

昔も今も私より速い、ですが、

速さだけでは私の蜃気楼しんきろう

 破る事は出来ませんよ」


 アリス「確か火の妖力で、空間を歪めて

 錯覚をおこす幻影だったわね

 相変わらず地味な技ね」


 ホムラ「なっ!技に地味も

 派手もないでしょう!」


 アリス「そんなだから

 性格が暗いんじゃない」


 ホムラ「ぐぬぬ、人が気にしている事を

 不愉快です、死んで下さい」


 ホムラの目がうっすら紅くなる


 アリス「あ、やば、言い過ぎたかな」


 ホムラ「十六夜流、一の太刀、

紅蓮扇ぐれんせん!」


 ホムラの剣撃は業火をまとった

 剣風を作り出す



 アリス「雷壁方陣!」


 回避不能と判断したアリスは

 堪らず防御に徹する


 アリス「ったく、相変わらず

 沸点が低いわねー」


 両者の間で激しくぶつかりあう

 炎と雷が弾ける


 アリス「我が道を阻むもの、灰燼とかせ

高周振動型雷神剣テスラブレイド!」


 ホムラ「当たらぬ剣で私と

 斬り合うつもりですか?」


 アリス「だったら速度を上げるだけよ!」


 先程まで脚に帯電していた光が

 アリスの全身を覆う


 アリス「行くわよ!」


 ホムラ「雷速瞬歩イグニションブーストの応用ですか、面白い」


 アリスが使っているこの技は

雷速瞬歩イグニションブーストとは違い

 身体の全神経に帯電させたことにより

 動体視力、反射神経、筋力、周囲の感知能力(1m程度が限界)の向上が可能となる


 一瞬にして距離を詰め切り込むアリス


 ホムラ「くっ」


 何とか反応して受け止めるホムラ


 アリス「私の目からは逃げられないよ!」


 アリスの視覚は先程までとは違い

 ホムラの本体を正確に捉えていた

 逃げるホムラに続けて斬り込んでいくが

 鍔迫り合いのような形になり

 お互いの剣が交錯し力比べになる


 ホムラ「ぐぬぬ、そのようですね、

しかし少々無駄に派手で燃費が良さそうとは

 言えない技ですね、ふふふ」


 アリス「ぐぬぬ、無駄に派手で悪かったね

 燃費悪くても、あんた先にぶっ飛ばしたら

 いいんじゃない?にやり」


 ホムラ&アリス「ぐぬぬ」


 闘技場控え室


 ザミエル「意地の張り合いだな」


 スノゥ「あのお二人仲悪いんですかね?」


 ザミエル「まぁ、良くはないな」


 丁度この頃

 関係者以外立ち入り禁止

 と書かれた幻獣捕縛棟のエリアに

 シド達が到着していた


 セフィラス「透過サーモグラフィー起動

 該当エリアに多数の熱源を感知しました

 数、7、内3つは人間のようです」


 シド「他の4つは幻獣か?」


 セフィラス「YES、建造物毎

 破壊しますか?」



 シド「丙種はそれぐらいでは死なない、

 それに犯人の正体も掴んでおきたい

 セフィラス、先行して様子を探れ

 人間は可能なら捕縛しろ、

 幻獣と戦闘になる場合は

 殲滅可能なら殲滅しろ」


 セフィラス「了解、ステルスモード起動

 光学迷彩を展開、任務開始します」


 幻獣捕縛棟禁止エリア地下4階


 ???「どうですか調整の方は?」


 白衣を着た女性が大会運営役員らしき

 人物に話しかける


 大会運営役員「今のところ問題ないかと」


 ???「それは大変結構、何せこれを

 作るのにかなりの労力がかかりましたから

ね、しっかり働いて貰わないと」


 不敵に笑みを浮かべる女性


 ???「サージャ、何かありましたか?」


 影の中から黒い装束を着た片目のない

 男が現れた


 サージャ「建物内部に侵入したものがいる

 数は恐らく2人、

例の青魔導士のようだ、クイーン」


 クイーン「あらあら、せっかちね

 せっかくまとめて

 殺してあげようとしたのに

 まぁ、いいわ、サージャ

 上の失敗作使っていいから

 少しだけ時間を稼いで頂戴」


 サージャ「クイーン、勘違いするなよ、

 私は私の目的の為にお前に

 協力しているだけで

 お前の部下になった覚えはない」


 クイーン「知ってるわよ〜でも

貴方の目的の人も、ラグナ商会なんでしょ?

 ここで頭を潰してやったら

 色んな意味で好都合じゃあないかしら?」


 サージャ「ふん、そいつが

 目覚めたら私は引かせて貰う」


 クイーン「ありがと〜」


 大会運営役員「ほ、ほんとにこいつ

 制御できるんですよね」


 何層も重ねて貼られた強化ガラスの先に

 薬品で眠らせられた巨体がうつる


 クイーン「あら〜今更ビビっちゃった〜?

 でもね、もうここまで来て、

 後戻りなんてできるわけないよね〜

 あはははははははは」


 幻獣捕縛棟

 立ち入り禁止エリア、地下2F


 サージャ「機械人形オートマトンか」


 セフィラス「熱源感知、光学迷彩解除

 捕縛対象確認、警告します、ただちに

 武装解除して投降して下さい」


 サージャ「生憎、こんな所で

 捕まるわけにはいかない」


 サージャの背後から

 3体の幻獣が現れる


 セフィラス「敵、投降の意思なしと判断

 及び戦力の増加を確認、該当データ照合

アシッドスライム乙種、ヘルヴァイパー乙種

 ジャイアントバジリスク乙種

 と確認、戦闘に移行します」


 サージャ「やれ!」


 一斉に3体の幻獣はセフィラスに

 襲いかかる


 セフィラス「右腕うわん解放

近接光学熱源兵装レーザーブレード展開」


 セフィラスは現在の武装での

 幻獣3体の殲滅と未知の人物を捕獲できる

 確率を計算する、その結果

 アシッドスライムの殲滅と対象の

 捕獲は困難と判断した、故に



 セフィラス「攻撃をヘルヴァイパー

 ジャイアントバジリスクに集中

 2体殲滅後、

 胸部収束砲メガスマッシャー

許可申請をグランドマスターに転送します」


 3体の攻撃を躱し、セフィラスは

 ヘルヴァイパーを一太刀で斬り捨てる


 セフィラス「対物理障壁展開、出力25%」


 ジャイアントバジリスクが巨体で

 突進してくるがセフィラスは障壁を展開し

 軽くあしらう


 セフィラス「無駄です」


 セフィラスは高く跳躍し右腕を振り下ろし

 ジャイアンアントバジリスクの首を狩る


 セフィラス「第1目標の殲滅を確認

 第2シークエンスに移行します

 グランドマスターに使用許可申請転送」


 サージャ「ちっ、役に立たない奴らだ

 アシッドスライム!!」


 アシッドスライムは

 霧状の腐食ブレスを撒き散らす


 セフィラス「皮膜型守護領域イージス、起動」


 サージャ「いつまで持つかな」


 アシッドスライムの腐食ブレスが

 セフィラスの皮膜型守護領域《イージスを

侵食し始める


 セフィラス「! 使用許可申請の承認を確認

 左胸部装甲パージ、リミッター解除

 胸部収束砲メガスマッシャー

発射!」


 セフィラスの胸部に高エネルギーが

収束されアシッドスライムに向けられ

発射される


 サージャ「な、光学兵器か!」


 直撃を受けたアシッドスライムは

 一瞬で蒸発する


 セフィラス「アシッドスライムの

消滅を確認

再度、警告します

 武装解除して投降して下さい」


 サージャ「機械人形オートマトン風情が

 調子にのるなよ」


サージャは自身の影の中に沈んで消えていく


 セフィラス「警告拒否と認識、

 強制的に捕縛します」


 サージャ「やれるものならやってみろ」


 セフィラス「!!!」


 姿を消していたサージャが突然セフィラスの影から現れ、背後から右腕を斬りとばした


 セフィラス「該当データ照合

 影技シャドウスキルの1つと推測」


 サージャ「ほぅ知ってるのか、

 だか無駄な事だ、次はコアを破壊する」


 再び自身の影に消えていくサージャ


 セフィラス「対応プログラム起動、

 左腕さわん開放、雷神掘削銛イグナイトハープーン、展開」


 サージャ「何をするか知らんが無駄だ、

 お前に俺の位置は特定出来ない」


 先程の胸部収束砲メガスマッシャーの影響で崩れた天井の一部で部屋には無数の影ができていた


 セフィラス「最終警告です

 武装を解除して下さい」



 サージャ「スクラップになるがいい!」


 警告を無視し死角から

 セフィラスに襲いかかる


 セフィラス「残念です」


 そういいながら地面に銛を打ち込むと

 自身諸共、辺りに電撃が走る


 サージャ「な、ぐあっ!」


 放電を喰らい一瞬怯んだサージャの

 顔面に蹴りを入れ吹き飛ばす


 サージャ「ち、これ以上は無理に

 付き合う義務はないな」


 サージャは自身の影に沈み逃走する



 暫くして合流したシド


 セフィラス「申し訳ありません

 捕縛に失敗しました」


 シド「構わない、よくやってくれた

 後は私がやるから

 簡易修復しておけ」


 セフィラス「了解、自己再生ナノリフレイン、モード起動」




 シド「で、お前は何者だ?」


 クイーン「あら〜バレてたー

 でも、何者だ、はちょっとショックだわ

 そうね〜ロストチルドレンの生き残りと

 言えば解るのかしら?」


 シド「!、宝条のラボの生き残りか?」


 クイーン「ピンポーン!大正解!

 でも正確には外部協力なのよねー」


 シド「目的は仇討ちか?それとも

 またくだらぬ思想で天界に戦争を仕掛ける

 つもりか?」


 クイーン「どちらかと言えば後者ね

 仇討ちはついで、いえおまけかしら、

 あはははははははは」


 シド「今更天界に戦争を仕掛けて

 何の意味がある」


 クイーン「あ、それは誤解だわ、

 私は天界になんか興味ないの

 私と宝条の共通認識は人という種が

 嫌いっていう事

 彼は人という種を進化させようとした、

 私は絶滅という方法を選んだ」


 シド「その手段が幻獣とクリスタルの

 強制融合という訳か」


 クイーン「あら?本当に勘のいい人ね」


 シド「悪党の考える事は大体同じ事だ」


 クイーン「ふふふ、あははははは

 私は停滞した種に救いの

 手を差し伸べてあげてるのよ」


 シド「止めるだけだ」


 クイーン「白との融合はまだサンプルが

 少なくて試せてないけど

 黒のクリスタルとの融合実験は8割方

 既に完成してるの貴方がお強いと

言っても街の人間全てを

守りながら倒すのは、

大変なんじゃあないかしら

 あははははははははははは!じゃあね〜」


 そういうとクイーンの足元に

 転送陣が現れ何処かに消えていく


 シド「賢しいやつめ、折り込み済みか」


 突然地面が割れ凄まじい轟音が鳴り響いた


 シド「セフィラス闘技場に迎え、

 ホムラ達と合流して現状を話して

 支援させろ

 私はこいつを闘技場内に誘導する

 結界師も要請しておけ」


 セフィラス「了解、グランドマスター」


 地面の亀裂から丙種の召喚した

 眷属が溢れ出てくる


 シド「厄介な事になりそうだ」


 次回予告

 第1章ベルセルク編

 第12話結界師


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