冒険編第5話時魔導士

ここフランベルクにある

標高2000m級の山々の中

いくつもの遺跡が存在する

その一つに3人は到着していた


馬車を降り、遺跡の内部を進む3人

突如フレアリザードの群れに取り囲まれる


スノゥ「ここはお任せ下さい」


スノゥの周りに

氷柱が数十本精製される


スノゥ「貫く氷槍フリーズランサー!」


氷柱は周囲にいたフレアリザートに

突き刺さる、

残っていたフレアリザート達もたまらず

逃げ出していく


アリス「へぇ〜案外やるじゃない

無詠唱で中級魔導の精製で

あれだけの数と威力だせたら大したものよ」


スノゥ「えへへこれだけは得意なんです」


アリス「あんた属性の適正は氷なの?」


スノゥ「はい、後、水と風も適正です」


アリス「あんた複数適正なのね」


ザミエル「2人とも話しはそこまでだ

先に進むぞ」


そんな雑談と戦闘を

繰り返す事、1時間後


スノゥ「あぅ( ´△`)

いませんねスルトゴーレム」


ザミエル「一応希少種だからな、

そんなに簡単には見つからないさ

ここの遺跡にいないとすると

違う遺跡を探してみるしかないか」


アリス「そうね〜出て来るのは

フレアリザードとリープバットばっかだし」


ザミエル「!?」


不意に何かの気配を感じたザミエルが叫ぶ


ザミエル「アリス!背後だ!」


アリス「きゃあぁぁ」


不意を突かれ何者かの襲撃を受けるアリス


スノゥ「は、は、ハザードキマイラが

なんでこんなとこに」


アリス「いったいわね!」


擦り傷を負ったアリスが

ハザードキマイラと

対峙するがザミエルが割り込む


ザミエル「アリス!下がってろ、俺がやる」


討伐等級S、中型特殊指定害獣

ハザードキマイラ

強さ自体は等級Sの中でも低いとされている

ただしハザードキマイラは

牙、爪、体液、に致死性の猛毒を持っている



ハザードキマイラの牙を交わした

隙をつきザミエルも銃で反撃するが

ハザードキマイラは

大きい身体には似つかわしくない動きで

それを回避する


ザミエル「意外と速いな

個体の中でも強い方か」


冷静に相手の戦力を分析していると

ハザードキマイラが毒液を辺りに吐きだす


ザミエル「やれやれ、面倒な」


不意打ちで負傷したアリスに

スノゥが駆け寄る


スノゥ「アリスさーん、直ぐに治療しないと

死んじゃいますよおぉ」


軽くパニックになっているスノゥ


アリス「大丈夫よ、私、これぐらいの

毒じゃあ死なないもの

ちょっと離れてなさい」


そういうとアリスは自分の魔力で精製した

雷によって帯電し光りを放つ


アリス「はぁーーーー!」


光が収まり、バリバリバリと

アリスの体に雷が残留する


アリス「いてて、これ自分にも痛いのよね」


アリスは自身に雷を流す事により

体内に入った毒を完全に無毒化したのだった


スノゥ「べ、べんり、ですね」


見境なく毒液を吐き散らすハザードキマイラ


ザミエル「次が控えているからな

そろそろ終わりにしようか」


左目に紋章のようなものが浮かび上がると

ハザードキマイラの周囲の時間だけが

遅延したかのようにスローモーションになる


スノゥ「あんなの見た事ないです

なんなんですかー?」


アリス「ザミエルは時魔導士なの

通り名は時食いクロックイーターとか

時食ときはみの射手って呼ばれてるわ」



ザミエル「無駄な労力かけさせやがって」


そう言うとザミエルは

ハザードキマイラの頭部を撃ち抜いた



ザミエル「生きてるか?アリス」


アリス「当たり前でしょ、

アンタこそ相変わらずゲスい魔法ね」


スノゥ「凄い魔法ですぅー

時魔導なんて初めて見ましたー」


ザミエル「一対一にしか使えないし

1日に三度しか使えない、

燃費と効率が悪いがな

少し休憩したら次の遺跡に行くぞ」


スノゥ「お二人共、本当に凄いです

ハザードキマイラが急に襲ってきても

冷静に対処するなんて」


役にたてなかった気まずさからか

スノゥは少し元気がない


アリス「ま、あんな事、日常茶飯事だし

予想通りに行く事の方が少ないから

いちいち驚いてたらキリがないわっ」


ザミエル「スノゥ、実戦に勝る経験はない

俺達は君よりほんの少しそれがあるだけだ」


スノゥ「はぃ(*´Д`*)」


少しだけ元気を取り戻したスノゥ

3人は次の遺跡へと移動するのであった


2つ目の遺跡の深部6Fを探索中

かれこれ4時間が経過した頃


アリス「あーもぅー、ほんとにいないわね

もう適当にその辺のゴーレム赤く塗ったので

いいんじゃないの?( ´_ゝ`)」


ザミエル「そんな訳にいくか馬鹿」


スノゥ「待って下さい、何かこの壁変です」


ザミエル「ん?これは、奥に空間があるな

よく気付いたな」


スノゥ「空気の流れに違和感がありました」


アリス「さっすが、風の適正持ち」


ザミエル「俺もアリスも探知型の

魔法や適正は持ってないからな、助かるよ」


スノゥ「えへへ」


アリス「よくよく考えたらゴーレムぐらい

スーリィがいたら一発で

見つけてくれるんだろうね」


スノゥ「スーリィ?誰ですか?」


ザミエル「スーリィは盲目の千里眼と

呼ばれている導士だ

ラグナ商会の目、というより

会長の目、だからな彼女わ

会長の側からは離れないだろう」


アリス「なんでかあの会長

人徳だけはあるのよね、貧乏で金がなくて、従業員酷使する割りに」


ザミエル「お前はサボり癖があるから

適度に忙しいぐらいで丁度いいんだ」



スノゥ「私もラグナ商会みたいな所に

はいってみたいです〜」


アリス「まじ?おすすめしないわよ〜」


ザミエル「本気で入りたいなら、

この後会長に推薦しておくが、

その話しはあれを何とかしてからだな」


ザミエルの視線の先には

赤く瞬く巨岩が見えた


アリス「ちょ、あれ、デカくない?」


ザミエル「よりによって希少種の乙種か」


解説アリス「モンスターの等級ってね

分類上E〜SSSに分けられる訳なんだけど

それぞれの個体の強さで

更に甲種こうしゅ乙種おつしゅ丙種へいしゅに分けられるの

甲種があくまで基本個体

乙種が突然変異や進化した個体

丙種がクリスタルに寄生された個体の事ね」



スノゥ「ど、ど、どうしましょう」


アリス「どうもこうもないわ

向こうもやる気みたいだし」


ザミエル「1箇所に固まるな、散開して

波状攻撃、スノゥは距離をとれ」


三方に散開したアリス達が

それぞれ攻撃を仕掛ける


スルトゴーレムは火の属性を持ち

通常10m前後の個体だが

アリス達の前の個体はその2倍以上であった


アリス「ぜんっぜん効いてないわね」


ザミエル「アリス、こんなとこで

生き埋めはごめんだ、雷公鞭らいこうべんは使うなよ」


アリス「わかってるわよ!

(使いたくても右手がこんなんじゃあ

使えないってーの)」


数度に渡り、アリスはスルトゴーレムに

切りかかっていたが

右手に痺れが出ていた


アリス「!?ヤバっ」


一瞬右手を気にした隙に

スルトゴーレムの掌打を受けて

吹っ飛び気絶するアリス

たまらずザミエルはスルトゴーレムの

意識を自身に向けるよう攻撃を続ける


ザミエル「ったく、余計な出費だ」


ザミエルはマスケット銃に

特殊な術式が刻まれた弾丸を装填する


ザミエル「冬の妖精カリアッハヴェーラ!」


ザミエルの銃から氷塊を含む

水撃弾が放たれる


スルトゴーレムはその攻撃を嫌い

一瞬よろめくがザミエルに向かい

熱線で応戦する

ぶつかりあったエネルギーが

水蒸気になり両者の間で爆発する


ザミエル「ぐあっ!」

激しく壁に叩きつけられ負傷するザミエル


スノゥ「ザミエルさん!」


スルトゴーレムはトドメをさそうと

ザミエルに近づき、腕を振りかぶる


スノゥ「どうしよう、このままじゃあ、

でも私の魔法じゃあ

どれも効かないし」


〜回想〜


スノゥ「どうやったら

兄様のように立派になれますか?」


スモーク「立派?ん〜そうだな、

スノゥ天候魔導士って何が

他の魔導士より優れているか知ってるか?」


スノゥ「わかりません(即答)」


スモーク「魔力も弱い、精製するものも

大したものも作れない、だけどな

1つだけ、強力な武器がある」


〜回想終わり〜


スノゥ「それは周りの環境に適応する能力」


覚悟を決めたスノゥが鞄から

液体の入った瓶を取り出して

ゴーレムめがけて思い切り投げた


パリーンっと瓶がスルトゴーレムに当たって

割れた瞬間、強大な爆発が発生し、

スルトゴーレムの左腕が崩れ落ちる


スノゥ「それは可燃性の液体爆薬です、

そしてこっちが!」


そういうと拳大サイズの

何かの実を投げつけると

スルトゴーレムの残った右腕に

蔦のように絡みつく


スノゥ「リヴァイ樹の種です!」



スルトゴーレムは片腕を失い

もう片方の腕も束縛されるが

熱線をスノゥに向けて放つ


スノゥ「うわーー」


スノゥは熱線の直撃は避けたものの、

吹き飛ばされ重傷を負う


スノゥ「ご、ごめん、なさい」


巻き込んだ事に対しての

謝罪をしながら意識を失うスノゥ


アリス「ちょっといい加減、頭に来たわ」


気がついたアリスは額から

血を流しながら

冷たい眼差しで

スルトゴーレムの前に立つ


左手を前に突き出しアリスが詠唱を始める


アリス「紫電しでんつちよ、その身を漆黒に委ね

神々さえ殺す化身と化せ」



アリスは黒い稲妻が迸る球体が

左手にできると

それをスルトゴーレムに放った


危機を感じたのかスルトゴーレムも

熱線をアリスに向かい放射する


アリス「因陀羅インドラ!」


球体はスルトゴーレムの熱線を物ともせず

突き進んでいき、ゴーレムの核諸共周囲を

黒い放電が蹂躙する


アリス「左手一本で3割がいいとこだけど

私のとっておきで逝けたんだから

感謝しなさい」


パラパラと土塊になって飛散する

スルトゴーレムの残骸に

冷たく言い放つアリス


負傷しながらもアリスの元に来たザミエル


ザミエル「おまえ、今のは

リリスの禁術か?」


アリス「そうよ、お姉ちゃんが遺してくれた

たった二つの私の大事なもの」


ザミエル「アギト以外にもあったんだな」


アリス「インドラを使ったのは

久しぶりだけどね、私は闇の適正が

お姉ちゃん程ないから」


アリス「それより、スノゥは大丈夫?」


哀しそうな表情を振り払うかのように

アリスはいつもの調子に戻す


ザミエル「気を失っているが大丈夫だ

とにかく、これでひと段落だな」


アリス「あー疲れたーお風呂入りたいー」


ザミエル「先に医者と報告だ、馬鹿」


アリス「えー、報告は明日にしようよー

どうせ、またすぐどっか行けとか

やれ白が出たとか黒が出たとか

ろくな事にならないんだから〜」


ザミエル「とにかく、スノゥの事もある、

急いで戻るとするか」



次回予告

第1章魔導学院編

第6話再生魔導士








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