第8話

わたしはCDなんて買ったことがない。パソコンを開いてyoutubeで音楽を聴くような人間。

PS4に取って代わられたPS3を起動して、CDを入れる。

PS3は凄いと、兄はよく言っていた。何がすごいのか教えてくれたけど、具体的な内容は覚えていない。

「あ、これは知ってる」

ひとりごとをつぶやく。

アルバムが4枚。それぞれ別々のアーティスト。

証明にジャケットを照らしてみる。爆弾とか、ついてないよね。

アップテンポな曲を聴きながら、北上ちゃんのことを考える。

何度も何度も考えてしまう、自分に非がなかったのかどうか。そして、大丈夫だよ、関係ないよ、なんてこころの中で呟いて、安心しようとするんだ。

いつのまにか、一時間くらいたっていた。多分、夢中になってた。

小さいころの空想の世界から外に放り出されたあとみたいな、寂しさが残った。

明日には返しに行こう。めんどくさいけど。

お気に入りの映画を押し付けてやろう。北上ちゃんが教えてくれた小説も教えてやりたいし、CDの感想とかも話してみたい。

とにかく、何か話したかった。






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