第2話

トイレで、国旗について考えている。目の前に貼られている「国旗早見表」のせいだ。

イギリスの植民地だった国では、今でも、国旗にユニオンジャックがぽんと置かれている国が多い。

じゃあ、日本は?パラオとバングラデシュは日本に占領されてたっけ。ああ、こんな時に手元にスマホがあればささっと調べられるのに。

トイレから出て、体操服に着替えて、行ってきますも言わずに外に出る。

朝は気持ちがいいけど、朝練は嫌だな、うん。汗かいた後の授業は、すごく気持ちが悪い。


6時間目は合唱の練習だった。私達の中学校は6月の行事として合唱を用意している。音楽は好きだけど、なんとなく乗り気になれないわたしは、一番歌いやすいソプラノ?を選択する。男子はかわいそうだ、彼らに選択肢はなく、歌いにくい男性パートが決定している。

例年通り、リーダー格の女子と、男子複数がもめて、(男子が声をだそうとしないからだ)その間、暇なので窓を開けて外に手を出す。

今日は久しぶりの快晴で、風も涼しい、いい日だ。学校の外の道路を走りすぎる車を数えてみる。

「あれ、大量のコバエの死体は?」

北上ちゃんが隣の窓に腕をぶらーんと下げる。

「気持ち悪いけど、頑張って掃除の時間に片づけた。もう、いやだな、来年も襲来するなんて、考えたくないよ」

「棟が変わるから、コバエの数も変わるんじゃないかな」

「どうだろう」

男子は廊下で練習することになったらしい。ちいっ、もっと揉めとけばいいのに。


「映画どうだった?」

北上ちゃんは放課後に珍しく声をかけてきた。いつもならさっさと帰ってしまうのに。

「良かったよ、本当に。特にバケツで水をキー坊に一生懸命かけるシーンとか」

「ほんと!あたしも好きだよ、そのシーン」

でもね

「あの作品、ヤフーレビューみたら平均で2なんだよっ!」

「それは、いやだな……」

あるある。つらいなぁ。そういうの。

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