#8

「千晶、おはよう!」

「おはよう」


変わらない学校。

いつも通りの教室。

なのに、どうしてこんなに寂しくなるのだろうか…



「千晶?どうしたの」


「…何でもないわよ」


「顔色、悪いよ。保健室行く?」


「大丈夫よ夏美。」


「でも…何か、元気ないし…」


「元気は無いわよ。いつもね」


「まぁ、そうなんだけど…」




「千晶ーー!!!」


「ゆ、由比?何かしら」


「顧問が、コンテストの締め切り間違えて教えてたって血相変えて走って来たんだよ!」


「え…あっ、コンテスト。」


昨晩あんなに考えていたはずの事なのに、

全く頭になかった。


「まだ作品ができてなくて_」

「明日!」


「…え?」



「明日の、11時までだって」


「嘘でしょう…」


「まだ、全く手つけてない感じ?イメージだけは沸いてるとか、なに撮るとか決めてる?」


「悩んでるわ…」


「や、やばいねぇ…」


「明日の11時まで_

やっぱり、出すのはやめ…」


「千晶」


「!」


「諦めないでよ」


「夏美…」


「ね?千晶なら出来るから!

無理な事じゃ無いでしょう。頑張ってみて!」


「…無理では…ないけど…」


「千晶。あたしも出して欲しい」


「…夏美」


「千晶はドラマチックな写真が撮れるし、インパクトもすごい。」


「夏美?」


「あたしとは、全然違うから

だからこそ、出て欲しい。」


「…」


「戦おう!千晶!」


「………わかったわ」


「千晶!」


「諦めるなんて、ばかみたいよね。

やってみないとわからないのに。」


千晶の口元が緩む。

しかしその眼差しは真剣だった。


「よし!頑張れ!」


「千晶、何かできる事ある?」


「自分で頑張ってみるわ。ありがとう。」



見当もつかないけれど…

やってみるしかない。


そう思った。

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