#7

『ち…き』


「ん……」


『ちあき』


何かしら…この声…

夢でも見ているのかしら。

あれ?この声どこかで聞いたことが…

*年前に_


『おきろぉぉぉぉぉ!!!!』


「きゃあ!」


『やっと起きたか!』


「えっ…、カケル?』


『おう、カケルだ!』


「カケル…」


『ん?』


ベッドから降りて、窓を開ける。

爽やかで穏やかな風に吹かれるのは、朝一番の楽しみでもある。


「あなた…誰なの」


『ん?だからカケルだって。』


窓から吹き込む風は、今日はどことなく強い。


『ちあきの事は、よく知ってるぜ。

*年前からな…』


「声、聞こえな_」


どんどんカケルの声が、電車が走っているような音でかき消されて行く。


「カケル?!」


突然の出来事に、動悸がする。


「カケル!」


なぜ、急に…今までこんな事、なかったのに。


「急に消えないでよ!」


完全に、聞こえない。

カケルの声も、電車の音も、もうしなかった。


「また…夜になれば、大丈夫よね…」


昨日あんなに嫌だったカケルの声が、

急に聞こえなくなった_


それがこんなに切ない事だったと気づいたのは、なぜだろうか…


「何不安になってるのかしら…」




電車の音にも、聞き覚えがあったのだけど…


いつの事だか思い出せない。


カケル、電車、*年前…


どうしても繋がらなかったのだ。





その時は…。

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