#6



「…何を撮ろうかしら…」


星空が窓から見える。

夏の空は昼でも夜でも、千晶の心に響くものがあった。

千晶はカメラを構えた。


今思えば、これまで撮っていたものは全て風景だった。

しかし、今回のテーマは『思い出』_


「思い出…思い出といえば」 カシャッ


『どうしたんだ?』


「ひゃっ!!」


『ん?どうしたんだよ』



朝からずっと聞いてなかったのに、急に聞こえたものだから驚いた。


夜行性なのかしら…


「…どうしたじゃないわよ、急に話しかけないで」


『そんなにびっくりしたのか!ちあきは案外びっくりさんだなぁ』


「…違うわ、というか誰だって驚くわよ」


『やっぱり驚いたんだかな』


「…静かにしなさい」


『というか、ちあきって冷たいよなー。よくそれで友達いるよな!』


「あなた私の何を知ってるのよ。」


『ナツミ』


「!」


『って子と、しんゆうでしょ?』


「…そうだけど、どうして知ってるの」


『だってずーっと見てたから、おれ!』


「えっ…」


『ちあきのこと!』


「いつから?」


『そこきになるかぁ?』


「気になるわよ…あなたって姿が見えないから不気味だし」


『ブキミ?!ひっでー!ひでーよ、そりゃ!』


「だってそうじゃないの。いきなり声が聞こえるようになって…」


『…この事、ショー?って奴にしか伝えてないんだろ』


「ええ。彰のことも分かるのね」


『おう!あいつ、ちあきと仲良しだよなぁー!』


「まあ、幼馴染だから」


『ナツミには言ってないんだろ?ま、オレとしては誰に言ってもいいんだけど』


「私は、人にわざわざ言わないわ。私がおかしいみたいだし」


『ふーん。そ!』


「とりあえず、今日はもう寝かせて…色々あって疲れたわ」


『もう寝るのかよー!』


カメラは机の上に置いて、今夜はいつもより2時間早く布団に潜ることにした。

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