#4


ピピピピッ

ピピピピピピピピッ


「…はぁ…」


「全く寝られなかったわ…」



そんなの当たり前のこと…

だって_。



『よ!』


「ひゃあ!!」


『おねーさん、おもしれーな!』


「…あなた…」


『何だ?』


「あなたのせいで眠れなかったのよ!」


『え、えぇ??』


「千晶ー、どうしたのー?」


「何でもないわお母さん!」


「そう?早く支度するのよー」


「…はぁ…」


『ちあきってのかー!おねーさん』


「!!勝手に呼ばないで」


『えぇ??なんか冷たくないか?』


「だって、迷惑なんですもの」


『迷惑?!』


「私は、もっと穏やかに暮らしたいのよ…

ただでさえ毎日毎日暑くて辛いというのに、なぜこんな事に…」


『あー、暑いのか。今は』


「暑いわよ!」


『おれにはよくわかんねーや!』


「…どういうこと?」


『だっておれ、声だけだしな。』


「声だけ…?実体はないの?」


『じったい?よくわかんねーけど、とりあえず。ないと言っておくぜ!』


「幽霊…ってこと…?」


『はぁ?!お化けじゃねーよ!!おれ!』


「訳がわからないわ…じゃあ一体何?」


『んな事言われてもよー。おれは、分からない。…ちあきならわかるはずだ。』


「私には分かる…?どういう事…?」


「千晶ー!まだ来ないのー?」


「あっ、ごめんなさい!今行くわ」


『ま、とりあえず行った方がいいんじゃねーの!』


「…言われなくても行くわよ」




支度をしている間は、彼奴カケル

話しかけて来なかった。



「はぁ…やっと黙ったのね。行ってきます…」


「おはよ。ちあちゃん」


「彰…おはよう」


「行こっか。」


私と幼馴染の彰は、いつも同じ時間に登校している。

一緒になることも、良くあるのだった。



「それでさ、ちあちゃん。例の声はどうなったの?」


「え、あぁ…そうね、彰にだけは言ったのよね」


「僕にだけなんだ。まぁ、ちあちゃんのお母さんはそういうの信じないだろうね。でも友達に電話とかしたかと思った。」


「話しても意味無いと思ったのよ。彰にも言うつもりなかったし」


「あの場で会わなかったらちあちゃん一人で抱え込んでたんだね…ちあちゃんらしいけど。言ってくれて良かった」


「でも、彰には聞こえなかったんでしょう?」


「うん…そうだね、残念だけど」


「じゃあやっぱり、言っても意味はなかったかもしれないわね」


「ちょっと待って!声が聞こえなくても、ちあちゃんの話は聞けるから。ね?」


「…どうもありがとう」


「どういたしまして。そういえば、夏美ちゃん?だっけ。その子には話すの?親友なんでしょ?」


「夏美は、私がそんな事言ったらすごく心配するわ…絶対に言えないし、言うつもりも無いわね」


「ふーん。女子の親友ってそんなものなんだ?」


「…親友だから言わないってこともあるのよ。それと彰、しつこいわ。誰にも言う気が無いって言ってるでしょう」


「あはは。ごめんごめん。」



彰の事は、決して嫌いでは無い。


けれど、幼馴染だからって言われたくない事くらいはある_。

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