#3


夏美と別れた帰り道、千晶はずっと謎の声の事を考えていた。



何なのかしら…

幻聴?何かに取り憑かれている?

それとも、ストーカー?


「全然わからないわ…」


思わず、ため息と一緒に声が漏れてしまった。



『何がわ…な…の』

「えっ?!!」


…聞き間違いじゃ、ない。

幻聴なんかじゃ、ない!



「いやぁぁぁぁぁあ!!!」



ひたすら走った。息が切れる事など、気にもせずに。



「ちあちゃん?」

「ひゃあっ!!!!」



「…し、しょう……?」


千晶が顔を上げた先には、幼馴染の彰が立っていた。


「ちあちゃん、どうしたの?何かあったの?」


「ええと…ストーカーと…何かに取り憑かれてて…!!」


「ええっ?!落ち着いて、とりあえず僕の家で話そうか」


「そ、そうね…取り乱してしまってごめんなさい…」


「あはは。別に。というかむしろ楽しかったよ。ちあちゃんがあんなに騒いでたの久しぶりだし」


「楽しかった…?彰、相変わらずよく分からないわ…長年一緒にいるのに」


「そうかなー。あっ、そういえば久しぶりでもないかも。この間も、停電した時すごい声量で叫んでたもんね。あの時はさー」


「ちょ、ちょっと彰。もういいでしょう。」


「あははっ。もういいのー?」


小悪魔……彰と話すと、調子狂うわね…


でも、おかげで恐怖は無くなってきた。


「それで、どうしたの?ちあちゃんは。」


「え…」


「さっき、ストーカーとか取り憑かれてるーとか言ってたよね?…僕、心配なんだけど。」


「あ、あぁ…ごめんなさい。

さっきの事なんだけれど_」


『聞こえる?』


「…っ!!!」


「ちあちゃん?」


やけに、今回ははっきりと…… 聞こえた。


「聞こえる…」


「え…」


「聞こえてるわよ!!」


「ど、どうしたの一体…!」


「聞こえてるわよ!!何が言いたいのよ!」


「えっ、本当に取り憑かれて…」


「彰は静かにして頂戴!」


「ええっ?!」


「聞こえてるって言ってるでしょ…何よ、はっきり言いなさいよ。あなた。話があるから私に話しかけてるのでしょう?!」


「……」


『やっぱり、おねーさん面白いや!』


「っ!…あなた、誰!」


『おれが誰か知りたいのかい?』


「教えなさい」


『おれは、カケルってんだ!よろしくな、おねーさん!』


「…はぁ?!」




こうして、謎の少年カケルとの会話が

始まったのだった_。

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