その時「ワォッ!」と声が出た。
かとも
その時「ワォッ!」と声が出た。
営業先のある郊外の街へ向かう電車は、人身事故の影響で遅れていました。
到着時間が遅れたのもあって、メインの商談相手が外出してしまい、新しい商談は仕切り直し、ほとんど無駄足の営業となってしまっていました。
その帰り道、その街の駅は、いつもと同じように見えたのです。
来た時に、人身事故があったことなんて、すっかり忘れていました。
トボトボと改札を抜けようとした時でした。
「IC」と書かれた自動改札、ICカードの入ったパスケースをつけた途端、
バタン!
と手前側の扉が閉まりました。
間一髪、閉まった扉の先は私の股間の前、私の大事なところは、なんとか挟まれずに済みました。
わずかばかり残っていた私の反射神経に感謝していると、すぐに駅員さんが飛んできました。
ダイヤの乱れで、まだまだ発車が大幅に遅れていて、構内はさほどでもないのにプラットホームには人が溢れそうになっていて、その駅員さんは、入場制限をかけるため、10台ほど並んだ自動改札機全てを出口専用に切り替えているところでした。
で、私は、ちょうどタイミング良く?その出口側が閉まる瞬間に入ろうとしたようです。
本来なら「入場制限します」とアナウンスしながら閉めるのだろうけれど、急な事態で人手無く、その駅員さん一人だけで作業をしていたということでした。
駅員さんは一生懸命謝ってくれて、構内にも入れてくれたし、結局帰りの電車はかなり遅れたけれども、こちらの股間は無事だったので、これぐらいの『ついてない出来事』は、不調に終わった営業に比べれば許容範囲だ。
閉まった扉の先端に、挟んでいただくにはちょうどいい位の隙間がありましたが、あの勢いでまともに挟まれたら、さすがに痛いに違いないでしょう。
以来、色々な駅の自動改札の扉の幅をチェックするようになりました。
今のところ私の知る一番痛そうなのは(一番間が狭いのは)ダントツで、阪急高槻駅の自動改札です。
その時「ワォッ!」と声が出た。 かとも @katomomomo
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